3000形アレグラ号の導入など,相変わらず観光鉄道の面目躍如たる箱根登山鉄道ですが,平成直前の’87(S.62)年は,まだモハ1-3形が主流で,1000形「ベルニナ号」が華を添えている時期でした.以下,’87年真冬の箱根登山鉄道の様子です.
【撮影日:1987年2月7日】

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彫刻の森駅を出発し箱根湯元へと向かう,モハ1形トップナンバー101号.水タンクがスカートのように見えますが,これぞ箱根登山というスタンダードな面構え.旧型テールライトも最近は珍しくなりました.

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彫刻の森美術館の高台から線路を望む.小涌谷-宮ノ下間の温泉旅館前の急勾配を下ってゆく2連.遠くからでもモーター音(発電ブレーキ音)が聞こえました.

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寒々とした冬晴れの中,町立温泉小学校(現,温泉幼稚園)横を下ってゆく2連.2日前の5日は雪だったので,学校の屋根に雪が残っています.

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小涌谷駅に到着した「ベルニナ号」第2編成.このころは2連で塗装も白とオレンジ.2004年に中間車を組込み3連化され,塗装も赤基調に変身.

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箱根駅伝で有名な小涌谷踏切を通過してゆく電車.もっとも最近は電鉄側で駅伝に支障ないようダイヤを微調整しているとか.

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小涌谷-宮ノ下間の蛇骨橋付近を行く106+104で,この頃は片運台化されていない姿でした.1926(S.元)年にチキ5号が事故廃車されているので105は欠番で,2連化された現在も104+106でペアを組んでいます.

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強羅へと登ってゆく106+104の後姿.残雪は2日前のもの.

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急カーブを通過してゆく「ベルニナ号」.小涌谷-宮ノ下間.

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宮ノ下駅に進入してくる湯元行き104+106号.

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106号の運転台越しに交換列車を見る.相手はモハ3形で唯一残った114号('97年廃車).宮ノ下駅.

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仙人台信号を強羅へと登って行く「ベルニナ号」第2編成.

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運転台越しに強羅行きの電車を見る.トンネルを飛び出してきたのはモハ2型108号.下部の丸ハンドルは手ブレーキ.塔ノ沢駅にて.

撮影時からはや30年弱.いつの間にかモハ1型は少数派となり,1000,2000,3000形などの新世代が幅を利かせる時代になりました.特殊な車両だけに長期間使う必要があるため,他の鉄道に比べ変化のスピードが遅いように見えますが,車両の交代は着実に進んでいますね.

おまけ

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行きがけに小田原駅で出会った7000形LSE「はこね号」.前面展望窓上には短いカーテンがありました.今だったら遮光フィルム貼り付けでしょうか.左側の車止は登山腺の標準軌.2006年に箱根湯本まで小田急の車両が担当することになり,現在の小田原駅は1067mmの線路のみ.名物の3線軌は入生田車庫からです.

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展望窓のカーテンはイタリア国鉄TEE・ETR300「セッテベッロ」にそっくり(1992年廃車).ここからヒントを得たのでしょうか.ミラノ駅にて1981.8.1.

本稿終わり