えちぜん鉄道は京福電鉄を引き継ぎ,2003年から沿線自治体による第3セクター方式で運営されています.福井駅を基点として2つ先の福井口駅でY字型に分岐し,海側に向かう三国芦原線,山側に向かう勝山永平寺線の2路線があります.前記事で示したとおり,田原町では福井鉄道と線路接続・乗入れ計画もあるようで,利便性向上への模索も続いています.今回,両路線を通しで探訪することができましたので,現況を掲載します.【撮影日:2014年7月23日】
三国芦原線
芦原温泉,三国港(→東尋坊)などの観光地を結んでいますが,路線の印象としては平坦な田園地帯を海に向かっていくという感じです.
改修中の田原町駅.駅員さんのいる丸窓付出札口,受渡しをする木製台+カルトンなど,昔ながらの懐かしい設備がありました.
乗りつぶし用に購入した三国サンセットビーチ券.1日フリー切符がついているので,海の家へ行かなくても,全線乗車用としてかなりお得(ほぼ半額)でした.えち鉄+福鉄共通のフリー切符¥1,200もありますが,土日休日/年末年始用で,平日は買えません.田原駅の鋏痕は斜剣状.
三国港行1039Mが田原町駅に進入してきました.両運MC6101形の6109号.元愛知環状鉄道の19mセミクロス3扉車で,スノープロー装備.8月3日開催の「さかい夏祭り(→案山子のコンテストがメイン)」の前サボ付.
九頭竜川に掛かる立派な3連トラス橋.google mapなどで見ると路線は直線ですが,実際には線路がカーブしており,トラスごとに角度を変えて架橋されています.橋の向う,土手右上に見えるのは中角駅.
九頭竜川の土手を下り,田園地帯に伸びる線路.三国芦原線では,このような景色が続きます.
えちぜん鉄道の車内にはアテンダントと称する女性乗務員が居り,旅客案内や乗車券発売・集札に携わっています.駅により車内を前後に移動する様子は,台鉄の車掌さんのようでしたが,えち鉄ではドア閉めや確認などの運転業務には携わりません.
帽子を被っている右側の女性がアテンダントさんです.片道50分,揺れる車内で立ちっぱなしで,結構大変なお仕事.福井口に着くとすぐ勝山永平寺線に乗務してました.
三国港へ向かう1139M,6105の単行.えち鉄の車両は前面方向幕横に,VHF帯のホイップアンテナが2本設置されているのが特徴.西春江駅.
あわら湯の町駅で交換待ちする6106.1109M,三国港行.周りは温泉街の雰囲気.
三国港駅に到着した1039M.折り返し1138M福井行きになりました.奥に有名なアーチ橋(眼鏡橋)が見えます.線路の右側は,道路を隔てて三国港の上屋・岸壁になっています.
ねじりまんぽの眼鏡橋
三国港駅の入り口には,ねじりまんぽで有名な眼鏡橋があり,国の登録文化財になっています.もともとこの駅は国鉄三国線の駅で,第2次大戦中に休止された路線を買収,電化開業したものです.アーチ橋は国鉄線路を超えて岸壁に物資を運ぶため,1913(大正2)年に建設.
この橋も線路と道路が直交しておらず,ルポ探1.折尾駅の現状と同様,端面でレンガをアーチ状に揃えるため「ねじりまんぽ」になっています.
勝山永平寺線
福井口から勝山永平寺線に乗換えました.こちらは所々山岳線のような趣があり,同系の車両が走っているものの,路線の印象はかなり異なりました.
福井口に留置されていたML521+522のペア.日立製凸電(1949年製)で,2連固定で運用.両端にスノープローが付いているので,ラッセル車代用.
福井口でY分岐する三国芦原線(左)と永平寺勝山線(右).
福井口の駅舎内では,旧タイプの軌道照明盤がしっかり働いてました.最近はコンピュータ化が進み,この手のものは珍しい.
志比堺-永平寺口間の山線の雰囲気.
交換して福井へと向かう1248K,6112号.福井鉄道同様,スプリングポイント上に雪除けシェッドが設けられていました.越前竹原駅.
終点,勝山駅で出発を待つ6103,1348K.車内には改造担当の「名鉄住商工業2005年」の銘板がありました.
勝山駅前には1920年生まれの箱型EL,ML6とト68が保存されています.線路は完全に分離されているので,今後の本線走行は無いでしょう(?).待合室を兼ねた保存施設に収納されており,修復が終わったばかりなのかきれいな状態でした.
線路側から見た保存施設のようす.
ML6正面の面構え.
ト68の様子.妻板が台形でなく平らです.
ト端梁にはバッファの丸穴が見え,大正生まれを証明してます.
福井駅
島式1面2線の福井駅ホーム.横には北陸新幹線の高架駅土台が既に完成し(2009年),高架橋もえち鉄沿いにかなり伸びていました.しかし開業は2025年(?)とか.コンクリが劣化しなければ良いのですが.
福井駅に到着した6103.
反対側の写真を撮ろうと思ってカメラを構えると,白衣を着た恐竜研究者がベンチに.実はコレ,勝山駅近くの福井県立恐竜博物館の宣伝パーフォーマンス.
えち鉄は,運行停止していた2002年冬に積雪で道路が麻痺し,代行バスも運行不能になった反省から復活された経緯があり,鉄道の価値が採算性だけでは評価できないことを証明してくれました.沿線自治体出資の地域密着型ライフラインの一部として,今後も末永く活躍してくれるでしょう.
7)トワイライトEXP に続く
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