ルポ探10.台北近郊 5)平渓線

 都心部や機関区の様子がある程度分かると,今度はローカル線も観察してみたいということで,台北近郊の平渓線を訪問してみました.1時間に1本程度の運転間隔で,列車は東部幹線の八堵から折り返し,三貂嶺から平渓線に入るシャトル運行スタイルです.列車は日車1998~1999年製のDC1000型3両編成で,車体がラッピングされているものやロングシートに改造されているものがありました.

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雨の八堵駅に遅れて到着した4707D.乗客を降ろして台北方面に向かい,すぐ引き返して手前のホームに入り,菁桐行4714Dになりました.バラと平渓線の風景のラッピングがなされています(最後尾DR1027).

 三貂嶺から平渓線に入ると,列車は基隆川沿いにゆっくりと進みます.イメージ的には青梅線の軍畑から上流方面といった感じでしょうか.だた,水と緑がかなり濃厚で,この日も彼の地のご多分に漏れず,結構な雨でした.途中の十分駅は滝で有名な観光地で,かなりの乗客が下車しましたが,とりあえず終点まで乗ってみました.

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途中駅,候石同(←日本語のフォント無し)駅でドア扱いをする台鉄の女性車掌さん(茶髪でカワイかったのにマスクが残念!).車掌(運転)室にドア扱いスイッチは無く,ドアの脇または上部に設置されたスイッチ(日本の半自動ドア用)に鍵を差し込み開閉するシステム.駅ごとにドア扱い・看視場所が決まっているようで,車掌さんが列車内を前後に移動してました.

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菁桐駅に到着した4714D.10分ほどで折り返し八堵行4715Dになります.左は石炭ホッパの名残で,上部が店舗になってます.

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線路終端側にもホッパがありました.柱には絵馬のように願い事を書いた竹筒が奉納(?)されていました.

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ホームから見た菁桐駅本屋.多雨地帯なので屋根がコケだらけで,青桐ならぬ青苔駅.信号テコや台秤など,懐かしのローカル駅アイテムが見られます.

 菁桐駅横には炭鉱に使われたと思しきロコとトロッコが展示されていますが,現状,竹筒の奉納場所と化しています.軌間は2フィート程度でしょうか.かなり狭く見えました.ロコの軸受蓋には「KBT」の陽刻がありましたが,ちょっと聞かないメーカー名です.またトロッコ側の運転席には「フクケン」のカタカナが見えました.他に銘板らしきものは見当たらなかったのですが,やはり日本製でしょうか.折り返し時間が迫り,十分な調査時間が取れなかったのが残念です.

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鉱山用トロッコと思しき黄色のロコと木製トロッコ.竹筒がぶら下がり,撮影がチョット難儀です.

 この後すぐに乗ってきた列車で折り返し,十分駅へと向かいます.一番前の車両は転換クロスシートで,最前列は特等席ですが,この日は職員さんが座っていたので,すぐ後ろから前面展望を楽しみました.途中,前出の女性車掌さんに職員さんと勘違いされて話しかけられたのですが,当方英語しかわからずアウト!もったいないと反省しきりで,この次はしっかり台湾語を勉強してこようと思った次第です.さて,列車は20km/h程度のゆっくりした速度で勾配を下り,ほどなく十分駅に着きました.

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DR1035の運転台周りの様子.日本のキハとまったく同様のマスコンとブレーキでした.運転士さんの足元の白いワイヤはタブレットキャリアで,マルの通票が入ってました.

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十分駅に到着する八堵行4717D.沿線随一の観光地なので,ホームはお客さんで一杯です.

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十分駅の信号テコ(左)と菁桐側の構内の様子.タブレットも使われており,時折チンチンと鐘の音が聞こえ,懐かしい雰囲気でした.

十分駅を発車するDCの動画です.先頭からDRC1030-DRC1016-DRC1034の3両編成で,先頭のみオリジナルのステンレス・クロスシート車,後ろ2両はラッピング車でロングシートに改造されています.

 十分駅は滝(十分瀑布)で有名ですが、もうひとつ鉄道ファン向けの施設として「臺灣煤礦博物館」があり,炭坑用トロッコに乗車することができます.これを逃す手はないとさっそく駅付近にあった案内図を頼りに歩いてみました.ところが鉱山機関車が置いてある入場券売り場らしきところは閉鎖されており,誰もいません.山道に「入口アト300m先」という表示があったので登ってしばらく行くと,耳の立った凶暴そうな黒犬に突然吠え掛かられ,これはマズイとスタコラ退散してきました.

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博物館の入口らしき場所.パンタ付ELとバテロコがお出迎えしてくれましたが,見学は出来ずでした.

 十分駅のもう一つの名物は「天燈」です.これはビニール製の小型熱気球で,表面に毛筆で願い事を書き,下部で火を燃やして膨らませ空に奉納します.これがナント線路上で行われており,列車が来ないとき線路周辺は,天燈の奉納場所と化します.本数が少なく,十分駅が列車交換場所なので可能なことでしょうが,とても珍しい光景でした.

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現役の線路上で天燈を上げる様子です.線路右の黄色いスカートのように見えるものは折りたたまれた天燈で,特製のハンガーから吊るして4面に願い事を書きます.値段はサイズにより100~300元程度でした.

 雨の中を歩き回り疲れ切ったので,軽食とビールにありつき休んでいると,突然タイフォンの音がして工事用のモーターカーが2連で滑り込んできました.職員さんたちが昼食をとるためにホーム横付で列車が止められたようです.工事用車両を間近で観察できる貴重な機会,ということで食事もそこそこに撮影しました.このモーターカー,職員さんがお弁当を食べ終わると入換・転線し,警笛を鳴らしてあっという間に姿を消してしまいました.

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十分駅第2月台に停車中の2連クレーン付モーターカー.職員さんがベンチに腰かけてお弁当を食べています.

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八堵側(左)と青桐側(右)から見たモーターカー.クレーンはどちらも同じ側に設置されいますが,屋根の形が違うので別形式のようです.どちらも宜蘭工務段所属で,左の車両は「成信産業2005年,SIM35-001」の銘板がついていました.

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連結面で(左),ピンタイプのカプラが見えます.バッファのサイズと位置が異なっています.左は菁桐側モーターカーのキャブ周り.漢字の標記が面白く,わかり易いですね.

 菁桐,十分両駅では平渓線のローカルムードと観光地をとしての雰囲気を十分楽しみ,期せずしてモーターカーにも会うことができ大満足でした.惜しむらくは十分瀑布と列車のツーショット写真を撮れなかったことですが,雨でカメラが濡れてしまい今回はやむなく諦めました.ただし帰路は,往路で見当つけておいた駅で貨車や様々の列車を観察・撮影しながら,途中下車を繰り返して帰りました.

6)台鉄車両Ⅰ に続く

コメント

コメント(2)

  1. やまもとよしたか on

    2016年9月に十分駅に行きましたが、駅構内に電気鎖錠付きの手返し転轍機があり、入換作業があることが想像できましたが、調べても貨物列車の設定も無さそうだし、なぜ鎖錠付手返しがあるのか不思議でした。十分駅はMCの基地なのかもしれませんね。

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    • admin on

      こんにちは.コメントありがとうございます.十分站の島式ホームの川側は,DC列車が入る気配がなかったので,やはり保線関連の側線なのでしょう.写真を見なおしましたが,確かに電気鎖錠付きのレバー式転轍機ですね.矢羽もちょっと小ぶりだったと思います.

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