台北近郊の台鉄運行の様子をまとめると,おおよそ下図のようになります.台北駅は地下4線のスルー構造なので,西部幹線の列車は車両基地のある七堵発着が基本(一部基隆発着).反対に東部幹線は樹林発着が基本です.首都圏で例えれば,品川-東京/上野-尾久というイメージでしょうか.したがって短期滞在者がお手軽に様々な列車を撮影する場所としては,七堵または樹林駅あたりがお勧めといったところです.

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台北近郊の列車運行系統の様子をまとめたものです.※細部相違の責は負いません.
(c)Raim Mechanos 2013

東部幹線

 平渓線への往復途上に観察した結果,東部幹線の主な施設配置は概略下図に示す通り(黄色の部分),貨物・旅客両方の撮影が可能でした.

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※候同の同は石ヘンですが,フォントがないので同で代用しています.
(c)Raim Mechanos 2013

候同駅

 ホーム南側に貨物用側線があり,北側にも側線があって保線用車両が停まっていました.また三貂嶺側のはずれには小さな検修庫があり,ワキや客車がいました.以下は駅構内と砂利トキ貨物の様子です.

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平渓線・十分駅から乗車したDR2900型,4721D八堵行を雨に煙る候同駅ホームで見送る.

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ホームのすぐ横には砂利トキ列車が停車中で,恰好の観察対象.同じ35t積ながら高さの異なる35G1000と35G2000型が混在していました.

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30t積のトキ1000型30G1059.白い手ブレーキハンドルが目立ちます.
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2両目は同じく1061.
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3両目は30t積のトキ,2000型,2075.1000型より背高で車長短め.
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4両目の1048.
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5両目2053.
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6両目1075.
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7両目2093.
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8両目1100.
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9両目1096.
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シンガリ10両目の1014.
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1000型側面標記と,台枠左下に付いている「台湾車両」の銘板クローズアップ.短い車体にボギー台車は,日本のセキのようです.

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台鉄のボギー台車好きはこんなところまで.日本だったら平台枠の2軸トロッコでしょうね.

瑞芳駅

 特急停車駅で,候同側に砕石積込場,ホームと駅本屋間に貨物留置線,台北寄りにクレーン付モーターカーが居ます.この日はホキ列がホーム横に停車していました.

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駅構内の様子.翡翠色のタイル貼り円柱が綺麗です.駅は改修工事中で,新たに設置されたと思われるステン安全柵がチョット邪魔!移動機のあたりが改札口.

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改札口前の待合室の様子ですが,日本のどこかの駅のようです.柱の上部が凝った様式ですね.職員さんは不在でしたが,左手に日本語の観光案内デスクもありました.

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駅本屋直近に留置中の移動機DL-1031.台枠横に,最大牽引トン数150t,最高速度15km/hの漢字表記が見えます.

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35t積バラストホッパ車11000型,35B11009+35t積1300型1319.

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同じく,35t積35B1200型,12004.

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1319と12004の連結面(左).荷役用のエアタンクが目立ちます.

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35t積バラストホッパ車35B2000型,2017+2013+1000型(?)×2両.

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ローカル3182レ,蘇澳行を勤めるEMU500型505号車.貫通扉中央に大宇の銘板がついています.

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瑞芳駅を出発する自強228号,新左營行.日立製のDR3000型3連×3編成で,派手なエンジン音を轟かせて走り去っていきました.

八堵駅

基隆方面のローカル列車(區間車)が頻繁に来るのと,平渓線の始発駅,急行停車駅なので,いろいろな列車を撮影可能です.七堵よりもこじんまりとした駅なので,ホーム間の移動も楽です.

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急行相当の「莒光號」にも是非乗ってみたかったので,短い区間ではありますが八堵から台北まで乗車してみました.左は八堵駅の自動販売機で購入した急行券+乗車券です.

時刻表の莒光號には,客車により「自動門(自動ドア)」と「摺畳門(手動折り戸)」の標記があります.この日の列車は新型の自動門車両で,先頭にビジネスクラス1両を連結した9両編成でした.
E415 + 35BCK10706 + 35FPK11404 + 35FPK10438
    + 35FPK10436 + 35FPK10417 + 35FPK10426
    + 35FPK10429 + 35FPK10406 + 35FPK10404

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横殴りの雨が降る八堵駅に到着した「莒光607号」の牽引機,E415.

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客車のこのような光景は日本ではすっかり見られなくなってしまいました.貫通幌はヨーロッパ風のゴム管タイプ.

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貫通扉からの後方展望は実に久しぶり.扉の封印が魔除け札のように見えます.

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新世代莒光号FPK35系の室内.足掛がありデラックスな雰囲気でしたが,ちょっと邪魔でもありました.

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台北駅での発車の様子です.発車の確認をしている駅長さんの合図灯は懐中電灯タイプ.

おまけ

台鉄車両の形式称号対照表です(※厳密なものではありません).

客車:
重量+種別アルファベット+(形式+製作番号)
例 : 35FPK 10404 → オロフ10000-404(10000型400番台の4号車)

重量(t)

台鉄 20 25 30 35 40 45 50
国鉄

種別抜粋(車種を表すアルファベット大文字1~2文字の組合せで表現)

台鉄 F(irst) S(econd) T(hird) B(uisiness) P(assenger)
国鉄 ビジネスクラス 座席車
台鉄 SA(loon) OB(serve) S(leeping) (bra)K(e) M(ail)
国鉄 サロンカー
台鉄 B(aggage) P(ower) D(ining) P(ush)P(ull) S(ervice)
C(ar)
国鉄 電源車 プッシュプル

貨車:
客車に準じますが,重量区分は「ムラサキ」より直接的なので,種別のみ示します.

台鉄 C(overed) S(teel) V(entilator) R(fregerator) (stoc)K
国鉄
台鉄 P(ig) G(ondra) F(lat) D(epressed center flat) (bra)K(e)
国鉄
台鉄 C(aboose)
(bra)K(e)
B(allast) H(opper) (oi)L (grai)N
国鉄 リ(バラスト) ホ(穀物)

参考文献:臺灣鉄路火車百科,蘇昭旭,2009

7)台鉄車両Ⅱ に続く