高岡には第三セクター運営の路面電車,万葉線が走っています.ここでもご多分にもれずモータリゼーション化に伴う部分廃止がありましたが,最近では文教地区への延伸計画や,城端線のLRT化・乗り入れなどが取りざたされ,活力のある路線になっています.また新潟トランシス製低床車アイトラムなど,新車の導入にも熱心です.訪問直前の7月21日からは鉄道総研のHybrid Tram「ハイ!トラム」の試験運転が始まっていましたが,この日は残念ながら会うことができませんでした.【撮影日:2014年7月22日】
高岡駅
3月に整備が終わったばかりの駅前広場を停留場に向かう76レ,MLRV-1003(2003年製).MLRVは窓上に表記のあるとおり「Manyosen Light Rail Vehicle」の略.静かな走行音でした.
駅ビル内に新設された停車場に進入するMLRV.ホームは2線あり,カーブポイントで分岐します.ビル内は地下鉄のような剛体架線です.正面のエンブレムの「M」は螺鈿細工で,角度により紫の輝を放っていました.
新しく明るいホームで出発を待つ折り返し81レ.万葉線HPによれば,2線とも使用されるのは8時台前半の2本のみとか.
高岡駅で途中下車した本当の理由はコレ.1本モノの緩衝器を備えたRawie製車止で,本邦初タイプ.赤と朱の塗り分けも新鮮です.
派手な外部塗装に比べて,落ち着いた配色のMLRVの車内.床が低く,広々とした印象です.貫通路にはメーカーのプレートとともにKozo Sato Design(工業デザイナー佐藤康三氏)のシールも貼ってありました.
MLRVは2軸単車を2台連結したような構成なので,連結部では一方が他方に乗り上げた構造となっています.連接車だと台車上の丸い貫通部が前後車両に対して均等に回転しますが,MLRVでは一方の車両にのみ従って回転するので,カーブでの動きが新鮮に見えました.
片原町停留所
時間の都合上,MLRVに2駅だけ乗り,交換設備のある片原町で下車しました.この停留所の安全地帯は道路上にペイントで描いてあるのみで,運転士さんに注意され恐る恐る下車しました.横をすり抜けてくる後続車に轢かれそうでチョット怖かったですが,ドライバーの皆さん方は慣れっこらしく,気をつけてくれたので助かりました.
片原町停留所で交換待ちをする78レ「アニマル電車」,通称「ネコ電車」のデ7073(1963年日車製).その横を「あみたん娘」のラッピングバスが通過.※あみたん娘:高岡市観光大使のアニメキャラクター「カノンとセシル」.「富山こども新聞」で小説連載中.
高岡駅から83レが,交差点を低速で曲がってきました.青一色のデ7076(1967年日車製)は,金沢星陵大学の広告車です.
片原町停留所で待っている「ネコ電車」と交換します.
入れ違いに高岡駅へと向かう「ネコ電車」.右端電柱の路面電車用信号機←に従い,左折します.この信号機は自動車学校では習うものの,ほとんど忘れていましたね.
路面電車用のスプリングポイント.トングレール付け根の丸い可動部が特徴的.マンガンクロッシング大手・大同特殊鋼の☆同マークが鋳込まれています.
交差点信号のタイミング制御のため,架線に設置されていた非接触式列車センサー.コイルを用いた電磁誘導式のように見えました.
駅前通り
2008年に設置された末広町駅.駅からのメインストリート上にあり,単線を挟む構造ですが,ホームは上下線別に両側にあります.安全地帯のVマークも久々に見ました.
万葉歌人・大伴家持の銅像前を出発する「ネコ電車」85レ.家持は役人時代に市内伏木に赴任しており,これを記念したもの.駅前整備に従い,5月に移設完了して除幕したばかりです.新駅や目前を走るMLRVなど,高岡の発展を喜んでくれていることでしょう.
2011年橋上駅化,本年3月万葉線乗入れ開始など整備の進んだ高岡駅前を行く「ネコ電車」.サイドのにぎやかな十二支イラストが一目瞭然.
整備の進む万葉線を見て大変うらやましく思い,モノレール計画が幻となり通勤渋滞に悩まされている筆者地元にも導入できないものかと思案しきりでした.最近は「ハイ!トラム」のような架線レス充電式路面電車も開発され,電気系設備費の低減が可能となってきました.しかし片原町交差点でしばし観察していると,雪国で除雪スペースを考えた広い道路であること,何よりも車の量が少なく路面電車の走行が支障にならないことなどがが実感され,地域住民の相当のコンセンサスが得られないと,都市部での新規敷設は無理だろうと思った次第です.7月26日には路面電車サミットも開かれ,情報収集したかったのですが日程が合わず残念!ともあれ,久々に見た路面電車にいろいろと考えさせられました.
4)金沢駅 に続く
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