新宮と聞いてまず思い浮かぶのは,10系寝台急行「紀伊」のオハネ・スハネに書いてあった「天シク」の所属標記(天王寺鉄道管理局・新宮客貨車区).当時の天王子鉄道管理局の所掌は,紀伊半島を含み関西線・亀山までと広大な範囲でした.筆者の「紀伊」乗車経験は亀山下車ばかりで,紀勢本線内まして終着まで乗ったことは無く,いつかは行ってみたいと思っているうちに数十年.ようやくの見学機会です.この駅はJR西日本と東海の境界駅で,大阪圏から続いた直流区間もこの駅まで.ここから亀山方面は非電化区間です.

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ようやく来ました新宮駅.駅舎は2階建てですが,改札や待合所は1Fのみ.ホーム間移動は地下通路なので,跨線橋が無い分,駅舎が低く見えます.棕櫚の木が南国を思わせます.

新宮鉄道部

 駅の西側には「天シク」の後継施設である新宮鉄道部がありますが,これも今や和歌山支社直轄となり,留置線+αのような扱いで名称が無いようです.ただ名無しではどうにも書きようが無いので,本ブログでは新宮鉄道部として記述を進めます.駅の南北に踏切があるので,東側にある改札を出て反時計回りに駅と鉄道部周辺を一周してみました.

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駅の北側から構内を見る.左が2面3線構造の新宮駅.手前が鉄道部への引込み線で,中間は駅の留置線.このあたりに「紀伊」は回送発着したのかな.鉄道部への出入りは,本線上を亀山方面に一旦引上げ,バックするという鷹揚な方法.

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乗車した「くろしお1号」が鉄道部構内へ引上げられるところです.

 鉄道部周辺は昔の新宮客貨車区の雰囲気が感じられましたが,とにかく車両が少なく閑散とした雰囲気でした.シェッドの付近には「JR西日本メンテック」の看板が見られたので,支社直轄というのは整備業務の子会社化・外部委託というのが実態なのでしょう.

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新宮鉄道部構内の様子.ブルーの105系2両編成と,左端にはJR東海のキハ11が留置されています.手前のピットにはキハ用の給油ホースと火気厳禁の赤札標記が見えます.

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クモハ105-28[大ヒネ]とクハ282-501の横顔ツーショット.クモハはクハ104-5とユニットを組んでいました.

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JR東海のキハ11-7+キハ11-305.トイレ付のステンレス300台は長距離各停には必須.

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南側の踏切から新宮駅構内を見る.先ほどのクモハ105のユニットが,2332M串本行になるべく本線上に引き出されているのが遠望できます.

新宮駅構内

長距離列車が発着しただけあって,有効長の長いホームと独特の接客設備が見られます.

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1番線から名古屋方面のホーム2~3番線へと続く地下道へのアプローチ.綺麗に整備された独特の広い角丸形状がレトロなおかつ開放的で,観光駅の風情を感じさせます.

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2~3番線側から見た地下道の様子.最近は橋上駅化とともに,この手の狭い地下道が少なくなりました.

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2~3番線にもしっかりと残っているタイル張りの洗面台.昔の小学校の運動場の片隅あった水飲み場のようですね.

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ホームから捉えた鉄道部の洗車装置.最新設備に更新されているとはいえ,「紀伊」も毎日ここで洗車されていたのでしょうか.

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8001D「南紀81号」紀伊勝浦行きが,1番線に進入してきました.キハ85系の標準的な4両編成(先頭から:キハ85-100+キハ84+キロハ84+キハ85).

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終点,紀伊勝浦まであと15kmほどですが,この駅は2社の分界点なので,JR東海の運転士さんからJR西日本の運転士さんに引き継がれます.

3)名古屋へに続く