さて,スタート時間になると見学者が改札前に集まり,担当のお二方の案内でツアーが始まりました.駅構内の踏切を渡り,給水塔の下から構内に入って,昔の木造校舎のような建屋の間を抜けていくと,転車台が現れます.

fmt-22

小学校の木造校舎のような趣の建屋.左の棟は水周りで,洗濯室や浴室がありました.

fmt-23

タイル張りの大きな浴槽.お湯の量がハンパではないので,現在は使用していないとのことでした.SLの煤で汚れた体を洗うのに,昔は必須の施設.

fmt-15

姿を現した転車台.扇型庫は4線分あり,これが唯一の検修庫.構内が手狭で他に検修庫を作る余地が無かったため,転車台ごと残ったというお話.

転車台の入換デモの動画です(108秒).車両はTH2107.

運転台は一般的な構造でした.右は転車台越しに駅を見通したところで,左側に給油施設,右が留置線です.

fmt-16 fmt-17

マスコンは明電舎の銘板が付いており,S29年4月製,製造番号17240,電動機5kW,一次電圧200/220V,2次電圧60/66Vと記載されていました.転車台の銘板は,鉄道省・図すて17,横川橋梁東京製作所,S12年,横線以下には部材の形状(エ,コ,L,リベットの製作工場名が記されています.文化庁の文化財等DBによると,直径18.3m,昭和15年となっており,製造年が合わないですね.設置が遅れたかな?

fmt-26 fmt-25

fmt-19

しっかりと噛み合った固定用のツメ.運転台側のレバーで操作.台湾の彰化機務段と同様の外ツメ方式.

彰化機務段の記事はこちら

fmt-18

転車台中央上部にある,給電用のスリップリング.

 扇形庫の左隣には,古い職場+倉庫を改装した鉄道歴史館があり,中を見学することが出来ます.駅名板や検修用具,役務設備など,懐かしい物品が展示されています.

fmt-20

保存されている旧運転台の後方が,鉄道歴史館.

鍛冶職場の炉.ここで鍛造もやってたんですねえ.その横にはエンジン消火ポンプもありました.

fmt-31 fmt-34

旧式の軌道照明盤.PC制御の画面よりも操作の実感がありそうですね.駅の釣銭器もなつかしのアイテム.

fmt-32 fmt-33

fmt-27

留置線のTH2100.全検の期限内に各車がほぼ同じ走行距離になるよう,運用に気を配っているとのこと.また,南側(写真左)の塗装が日光で退色するので,転車台で転向して使いたいところだが,ATSの車上子が片側にしかなく,設置費用も捻出できない,というお話も興味深く伺った次第.

 40分ちょっとの見学ツアーでしたが担当の方々の説明も興味深く,¥300の入場料がとても安く感じられ,楽しいひと時を過ごすことが出来ました.

3)二俣近隣駅 に続く