ルポ探12.鳥取 1)若桜鉄道

 7月の金沢に続き,鳥取方面に出張の機会があったので,かねてより訪問してみたかった鉄道施設を集中的に見学してきました.例によって時間の制約があり,列車による移動では間延びしてしまうので,鳥取駅から駅レンタカーによる強行スケジュールです.

若桜鉄道

 因美線・郡家(こうげ)駅から終点若桜駅に至る19.2kmの盲腸線で,1983年に第3セクター化,さらに2009年に沿線自治体による上下分離方式となり,鉄道会社そのものは第3種事業者です.若桜駅構内にはSL展示施設があり,体験走行などのイベントも行われており,これは外せないスポットだということで見学してきました.

若桜駅展示運転設備

 駅隣接の駐車場に車を入れるとすぐに汽笛の音.気もソゾロに線路に向かうと,C12の展示走行が始まったところでした.改札口で入構券を購入し名札を付けて,ターンテーブルへと向かいました.

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若桜駅本屋のたたずまい.昭和5(1930)年製ですが平成7(1995)年に改修され,若桜鉄道の本社があります.SL展示走行場所は駅の構内右手です.

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SLの展示運転線付近の様子.ターンテーブルを中心に見学場所が設けられています.庫の奥には「道の駅・若桜」があり,団体客は直結ルートで見学可能.

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昭和5(1930)年製の給水塔横,ピット線上のC12-167.これからターンテーブルに向かいます.この日は休日だったので,子供会(?)の見学者が大勢いました.

C12のターンテーブル進入の動画です(32秒).

 C12-167は昭和13(1938)年日車製で,鳥取区で働いた後(S19-21年),加古川や南延岡でも活躍.兵庫県可美町(現多可町)公民館で保存されていたものを譲り受け,2008年3月に圧縮空気方式で復活したものです.これは群馬・川場村のD51-561に続き国内2例目となります.川場村ではデンヨー製の50HPクラスのエンジンコンプレッサ(おそらくDAS-180LB,Max0.69MPa,5.1m3/min)を用いているので,ここでも同様でしょう.コンプレッサの最大吐出圧力は7kgf/cm2で,D51やC12の蒸気圧力14kgf/cm2の半分ですが,自走+アルファの展示走行ではこれで十分でしょう. また煙については,川場村では火室内のBBQコンロで石炭を焚き煙突に送り出しているということなので,これも似たような仕掛けと思われます.いずれにせよ動態保存の一つの形として注目すべき技術で,うまく動いているのに感心しました.

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ターンテーブル上のサイドビュー.後部コールバンカーにエンジン駆動式コンプレッサが積み込まれています.

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ターンテーブルは人力駆動なので,子供たちが前後のバーに取り付いて回すことが出来ます.この日は参加者が多く,交代で何度も回していました.

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もう一つのお楽しみがコレ.長野電鉄で使用していたト6を連結した,トロッコ列車の往復運転です.貨車では最小部類の「ト」も,近くで見ると意外と大きい.

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バックで構内奥に向かうトロッコ列車.後方は「道の駅・若桜」で,親御さんが子供たちの記念写真を撮ろうと待ち構えているところ.

トロッコ列車運転の様子です(動画).

若桜駅構内

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昭和3年,川車製のターンテーブルと鉄道省の銘板,塗装標記のアップ(左).回転用ハンドルとロックレバーの様子(右).

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庫で休んでいたト6.この後,トロッコ列車のため引き出されました(左).右は,昔は沿線のどこでも見られた保線小屋(昭和5年製)で,これも絶滅危惧種.中の保線自転車は140ccのエンジン付き.子供のころは引出用の直交したレールが不思議でしたが,結局最後は人力で転回して線路に載せてたんですね.

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矢羽信号機越しに駅本屋が見えます(左).給水塔横のピットとDD16-7(右).

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体験運転可能なDD16-7.もとは国立の鉄道技研・構内入換用で,2012年に移籍.

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構内に留置されていた,12系スロフ12-3ほか(2012年にJR四国より譲渡).「わかさ」のサボがささってました.後方はWT3001.

郡家駅

 智頭急行のHOTと若桜鉄道のWTが多く,JR西のキハは少数派でした.

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駅構内の様子.因美線は対向式ホーム,若桜鉄道は手前の1線を使用します.レールは先でつながっており,鳥取への直通列車もあります.駅本屋は改修中でした.

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京都発の「スーパーはくと5号」,55D,倉吉行.293kmを3時間36分で結び,ディーゼルながら表定速度は81km/hと俊足.この日のHOT7000先頭車は,谷口ジロー・ラッピング車でした(先頭1両のみ).

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郡家駅を出発する「スーパーはくと5号」.右から合流する線路が,若桜鉄道.

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郡家駅に到着した1338D,鳥取までの直通運転です.WT3004のラッピングは,鬼のスキーと鯉の絵柄.

 若桜鉄道の圧縮空気式SL運転は,煙害が少なくボイラ検査の不要な展示運転方法として優れるとともに,道の駅とタイアップした施設への集客方法,手軽な参加イベントにも感心しました.またト6やDD16などを含めて,動態保存にかける熱意に頭が下がります.博物館クラスだと開設も大変ですが,このような展示施設が増えると楽しいですね.【撮影日:2014年9月15日】

2)津山扇形庫 へ続く

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