7月の金沢に続き,鳥取方面に出張の機会があったので,かねてより訪問してみたかった鉄道施設を集中的に見学してきました.例によって時間の制約があり,列車による移動では間延びしてしまうので,鳥取駅から駅レンタカーによる強行スケジュールです.
若桜鉄道
因美線・郡家(こうげ)駅から終点若桜駅に至る19.2kmの盲腸線で,1983年に第3セクター化,さらに2009年に沿線自治体による上下分離方式となり,鉄道会社そのものは第3種事業者です.若桜駅構内にはSL展示施設があり,体験走行などのイベントも行われており,これは外せないスポットだということで見学してきました.
若桜駅展示運転設備
駅隣接の駐車場に車を入れるとすぐに汽笛の音.気もソゾロに線路に向かうと,C12の展示走行が始まったところでした.改札口で入構券を購入し名札を付けて,ターンテーブルへと向かいました.
C12のターンテーブル進入の動画です(32秒).
C12-167は昭和13(1938)年日車製で,鳥取区で働いた後(S19-21年),加古川や南延岡でも活躍.兵庫県可美町(現多可町)公民館で保存されていたものを譲り受け,2008年3月に圧縮空気方式で復活したものです.これは群馬・川場村のD51-561に続き国内2例目となります.川場村ではデンヨー製の50HPクラスのエンジンコンプレッサ(おそらくDAS-180LB,Max0.69MPa,5.1m3/min)を用いているので,ここでも同様でしょう.コンプレッサの最大吐出圧力は7kgf/cm2で,D51やC12の蒸気圧力14kgf/cm2の半分ですが,自走+アルファの展示走行ではこれで十分でしょう. また煙については,川場村では火室内のBBQコンロで石炭を焚き煙突に送り出しているということなので,これも似たような仕掛けと思われます.いずれにせよ動態保存の一つの形として注目すべき技術で,うまく動いているのに感心しました.
トロッコ列車運転の様子です(動画).
若桜駅構内

昔は沿線のどこでも見られた保線小屋(昭和5年製)で,これも絶滅危惧種.中の保線自転車は140ccのエンジン付き.子供のころは引出用の直交したレールが不思議でしたが,結局最後は人力で転回して線路に載せてたんですね.
郡家駅
智頭急行のHOTと若桜鉄道のWTが多く,JR西のキハは少数派でした.

京都発の「スーパーはくと5号」,55D,倉吉行.293kmを3時間36分で結び,ディーゼルながら表定速度は81km/hと俊足.この日のHOT7000先頭車は,谷口ジロー・ラッピング車でした(先頭1両のみ).
若桜鉄道の圧縮空気式SL運転は,煙害が少なくボイラ検査の不要な展示運転方法として優れるとともに,道の駅とタイアップした施設への集客方法,手軽な参加イベントにも感心しました.またト6やDD16などを含めて,動態保存にかける熱意に頭が下がります.博物館クラスだと開設も大変ですが,このような展示施設が増えると楽しいですね.【撮影日:2014年9月15日】
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