シアトルの鉄道 (1)LRT

はじめに

シアトルはハワイ・アラスカを除けば日本に一番近い米本土の大都市で,太平洋航路の時代は氷川丸などが往復する米国の玄関口でした.市内にはスターバックスの本店やイチロー選手の活躍するセーフコ球場があり,近郊にはボーイング,マイクロソフト,ニンテンドーアメリカ,Amazon,コストコなどが本拠を構え,観光と産業など多方面で発展しています.また車社会である米国の大都市では珍しく日本のように鉄道系公共交通機関が発達しており,LRT,モノレール,路面電車(ストリートカー),トロリーバス,AMTRAKなど盛り沢山で,鉄道ファンにとっても興味深い場所です.まずはじめにLRTについて紹介します(2011年10月に訪問した時の情報です).

(1)LRTについて

日本から直行便が発着するシアトル・タコマ空港内のSeattle/Tacoma Airport駅から市中心ダウンタウンのWestlake駅まで22.4kmを40分弱で結び,10分間隔で運行されている非常に利便性の高いLRTです.運営主体はCentral Link Light Rail Lineという名称で,シアトル周辺のビュージェット湾(Puget Sound)沿岸の自治体から構成されるSound Transitという公共企業体です.このため空港からダウンタウンまでの料金も,片道$2.75(Day Passでも$5.50)と極めて庶民的です.

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波型塗装の一般的な車両です.空港駅にて.

空港駅の末端にあったRawie社製の車止め.日本の物より簡略化された造りに見えます.

車両は近畿車両が米国内でノックダウン生産した3連接車体70%低床車で統一されており,通常2編成一組で運行されています.主要スペックは,車体長27.45m,幅2.65m,質量45t,電動機140kW×4,IGBT -VVVF,1500V架空線式で最高速度55mph(88km/h)です.座席は連接部を中心とする集団見合型配置で,運転席直後はセキュリティー確保の観点からか頑丈で見通しの悪いドアで塞がれ,前面眺望を楽しめないのが非常に残念です.

空港周辺では高架軌道や道路中央の専用軌道となっていますが,ダウンタウンに近づくと渋滞対策で地下トンネル区間となります.このトンネルは路線バスと共用となっており,同じ地下ホームにLRTとバスが発着するという実に珍しい光景を目にすることが出来ます

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International District/Chinatown駅の様子.半地下構造で,線路上にバスも発着します.この駅のすぐそばには日系スーパーの「宇和島屋」があり,フードコートもあるので,撮影の合間の休憩に好適です.

またアートプログラムと称して複数の芸術家とのコラボ活動が行われており,駅がそれぞれの作家の作品として制作され,路線が丸ごとアートギャラリーの様相を呈しているところも興味深いところです.車両基地は路線中ほどのSodo駅近くにあり,高架線上からアメリカサイズの広大な基地の様子が窺えます.

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Sodo駅近くの電車基地の様子.広大な構内に点在する黄緑の電柱もアートの一環で,黒ストライプのものはトンガリ帽子付です(アーティスト:Dan Corson and Norie Sato).

基地への出入り口はデルタ線となっていて,この中央部に乗務員詰所の小屋があり,列車は駅間で運転停車して乗務員交代を行っていました.

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雨の中,詰所で待機する乗務員さん.ご苦労さまです.

この路線はさらなる延長が予定されていますが,昨今はどこでも予算不足らしく,全線完成は2030年頃と予定されています.

imageLRT路線図.オレンジ部のみ開業中.
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切符(右)は紙ベースで裏に磁気テープが付いた一般的なもの.

(2)につづく

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