能勢方面というと大阪最北部で妙見山信仰で有名ですが,何のゆかりもない関東モンが訪れる機会はほとんどありません.ただ,能勢電鉄に乗ってみたかったのと,終点の「妙見口」駅近くに乗用鉄道模型の大御所「櫻谷軽便鉄道」があるので,これを是非とも拝見したく訪問しました(2012年11月9日).
能勢電鉄との接続駅である阪急宝塚線「川西能勢」駅はホームが一体構造で,改札無しで乗換可能です.能勢電の行先は「妙見口」と「日生中央」の二つですが,分岐点である「山下」で必ず他方向への列車と接続する運行形態になっています.これは逆向きについても同様で,山下駅での乗換は同一ホームで行えるよう配慮され,乗客の利便性重視の姿勢に感心しました.

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「川西能勢」駅の能勢電ホーム.島式で2線発着可能ですが,閑散時は4号線のみから発着してました.停車中の電車は,「日生中央」行き1505号.右側の乗客のいる場所は,宝塚線梅田方面のホーム.

「山下」から先は単線となり,トンネルや切り通しのせいで電車は山の中を走っているように感じますが,沿線は住宅地が広がっています.終点の「妙見口」は山田の中にある駅といった風情でした.電車は数分停車するとすぐ引き返すので,運転士さんは大急ぎで運転台の移動を行っていました.

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セクションレイアウトで模型化してみたくなるような「妙見口」駅の構成.3線の頭端式ですが,右側は保線用,左のホームは使用していないので,実態は2線島式です.

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電車が入ってくると,あわただしく出発準備が行われ,すぐに引き返していきます.乗客数の割にはフリークエントサービスが心がけられており,さすが関西私鉄!

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能勢電(というより阪急)名物の下作用の自連.ナックルの下部が長い独特の形態.

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松山重車輛工業製のバラスト散布用ダンプトロ列車.引き通し線が完備された立派な編成で,DB+リ×3+クリ?と表現すればいいでしょうか.モーターカーがちょっとくたびれてますが,28tクラスかな.

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反対側にも立派な運転台があります.銘板には「二転ダンプトロリー:平成7年3月製」とあったので,荷台が左右に傾くタイプ.

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改札口近くからホームを見たところ.有効長は4両分あります.手洗い台がわざわざ新設されてるのは,登山者への配慮でしょうか.

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外観は登山口にある山の小駅といった趣ですが,改札口にはICカード対応の自動改札機が4列分あります.

さてここから「櫻谷軽便鉄道HP」の案内に従って15分ほど歩くと,家庭菜園団地のゲートがあり,目指す鉄道は丘陵部を上りきったところにありました.レールを見た最初の印象は「5インチよりレール幅が広い!」.

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ようやくついた「櫻谷」駅.しっかり外構も施された立派な造り.

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「櫻谷」駅のループ線と停車中のSL列車.

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2000年5月製造のSL風バテロコ7号と客車301+302の編成です.左手には給水塔が見えます.

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ポイントです.クロッシング部分とトングレールの加工がすごく大変そうです.特にトングを斜めに削るのは,よほどストロークの大きな工作機械がないと無理.

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反対側の「風の峠」駅には車庫があり,オレンジの木製電車10号と,最新のガソリン動車キハ11がいました.

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キハ11の台車周り.チャンネル材,枕ばね,ベアリングユニットの配置など,市販材料をうまく組み合わせた台車です.

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車庫周りのヤード配線.ポイントは数が多いので,「鈍端ポイント」によりトングレールを入換える方式を採用し,工作を合理的に省略.また転轍機の錘はIVANKO製バーベルの転用品で,この応用もうまい手と感心しました.

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「風の峠」駅から「櫻谷」方面を見通す.剛体架線風の電車線(架線)も敷かれた立派な線路でした.運転会では,さぞ人でにぎわうことでしょう.

せっかくの訪問だったのでお話を聞くことが出来ればと思っていたのですが,例によって出張合間の平日午前中で,どなたもいらっしゃいませんでした.ともあれ傾斜地にもかかわらず,立派な土木・路盤工事を行ったうえで線路を敷設,車両も自作されていることにただ敬服,明らかに趣味レベルを超えていると感じ入った次第です.実際,この鉄道に触発された能勢電のプロの方々が,「シグナス森林鉄道」を妙見山登山口近くに作られて運営されています.「櫻谷軽便鉄道」の今後のますますの発展を祈念いたします.

(おわり)