1981年7~8月の夏休みを使って,初めての海外旅行・鉄道撮影行に出かけたのも,はや38年前.JTBのパックツアーで英→仏→独→スイス→伊→ギリシアを3週間で周るという強行軍でしたが,この頃は若さと好奇心でカバーできた時期.当時,本や雑誌でしか見たことのない車両,さまざまの運行スタイルなどを直に見る機会を得て,大変勉強になりました.
さて当時の欧州空路はソ連(ロシア)上空が軍事的理由で解放されていなかったため"アンカレッジ経由"というもので,成田離陸後約6時間でアンカレッジ@アラスカに一旦降り,給油/休憩に2時間,さらに11時間ほどグリーンランド上空をフライトしてようやくヒースロー空港@ロンドンに到着という難行でした.乗ったのはJAL1421というマドリード行の便で,終点のスペインまで行く人はさぞやお疲れだったでしょう.

キングズクロス駅とIntercity 125

今でこそハリーポッターの9¾番線で有名になっていますが,本来は東海岸本線(East Coast Main Line)の始発駅で,上野駅のようなもの.翌日にヨークにある鉄道博物館に行きたいということで,指定席予約がてらホームでの撮影に出かけました.

KX-00

キングズクロス駅の玄関.道路一本離れた左側はセント・パンクラス駅で,現在はユーロスターの発着駅です.「こんなに近いのに何で一つの駅にしないんだろう」と当時は思いましたが,創業時の鉄道会社が別々.1981.7.21.

東海岸本線には英国鉄新幹線Intercity 125(HST;High Speed Train)が運転されており,非電化で世界最速の201km/h(=125mph)を誇っていました.両端に電気式DL(Class254のち43に改番:’77年-,1900kW),中間に高速走行可能なMark3形客車を6~9両挟んだ編成でした.

KX-01

入場券を買って改札を抜けると上野駅のような頭端式ホームで,さっそくIntercity125に出会うことができました.右の旧表記254-008はカバーを開けて給油中?

KX-02

2番線から4番線まで,すべてIntercity125が入線している嬉しい状態.明り採りのあるドーム状の高い屋根が印象的でした.

KX-03

2番線の43068は今もEast Midlands Trainsで現役のようです.

KX-04

ホーム先端から駅舎を望む.HSTははしごをかけて窓の清掃中なのがご愛敬,隣はClass47(C-C,1925kW)のローカル列車が出発待機中.

KX-08

Biritish RailとInter-City 125のロゴが描かれた機関車のサイド.近鉄のアーバンライナーのような先端形状ですが,もちろんこちらが10年ほど先輩で,前傾角がチョイ少な目か.

白い油煙をあげてキングズクロス駅を発車するIntercity125と後追いショット.ここからも高く丸いドームが目立って見えます.

KX-05 KX-06

KX-07

ホームのはずれには定石通りに機関車溜りがあり,Class 55(1961-62年, C-C, 1650HP/1230kWx2台)とClass 45(960-62, C-C, 2500HP/1864kW)がたむろしていました.BRの機関車は"British Rail Blue"という青い塗色と黄色の前部警戒色が当時の標準.どちらも21m近い細長い車体が目立ちました.

KX-10

Class 45のローカル列車が顔を揃えたところ.ホームには引掛式のテールランプらしきものが3台置かれてました.

ticket_KC

キングズクロス駅の入場券(左).ヨークへのIntercity125指定券(右)は£20.当時の為替レートは¥450/£と大変高額で¥9000円相当となり,両替しておいたポンドが一気になくなり痛い出費でしたね.緑の窓口風の出札カウンターでオバサンと英語でやりあって購入しましたが,日付,行先,往復の別など細かに聞かれ,当時の会話力では冷や汗もの.最近のネット予約は実に有難いです.

 

 

 

 

ロンドン地下鉄

まずはキングズクロス駅の撮影が順調に運んだということで,ホテルへ戻る途中に撮った地下鉄の写真.場所はたぶんパディントン駅だったと思います.ホームへのアクセスに木製のエスカレーターが活躍していて驚きましたが,流石にもうないでしょうね.

tube-02

見た瞬間「裾広がりの変なカタチ~!」とインパクトの強かったディストリクト線ウィンブルドン行のCO/CP型.1937年製のO/P型を'60年代に環状線(Circle)用にコンバートしたもので,銀座線1100/100などの古豪相当.標識灯も外付け吊り手タイプ!この年に退役したということで,今となっては貴重な記録となりました.

tube-01

こちらは環状線のC69/77型.ごく普通の車両でしたが,大断面タイプとはいえチョット狭いか.

地下鉄もゆっくり撮影行ができればよかったのですが,BRの取材だけで手いっぱいでした.機会があれば是非再チャレンジしたいところです.

2)ヨーク鉄博 に続く