シアトルの鉄道 (4)トロリーバス (5)AMTRAK

(4)トロリーバス

無軌条電車と呼ばれるトロリーバスは,日本では黒部と立山トンネルだけになってしまいましたが,シアトルではダウンタウン周辺を多数が走行しており,連接の大型車両も見受けられます.以前はダウンタウンのトンネル内も走行しましたが,LRT用に架線システムが変更された後はハイブリッドバスが走行しています.

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連接の大型トロリーバス.トロリーポールは前の車両にも設置されていて,本来は二丁ポールになります.運転台前部には自転車ラックもあります.Virginia St. 6thにて.

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こちらは非連接のトロリーバスで,かなり複雑なトロリーポールの支持機構を用いています.外れた時には後ろのロープ巻き取り機が動作し,トロリーポールが架線をショートさせないように降下させます.押上げ力を常に監視すようなメカニズムが装備されているようです.
奥の尖塔はSeattle King Street駅です.

ストリートカーとの交差点では,両システムの電源がショートしないように,複雑ですが巧みに構成された架線構造を観察することが出来ます.これは国内では完全にすたれてしまった技術でしょう.トロバス最大の欠点として交差点や分岐点でのポール離線がままありますが,バス運転手がおもむろに降りてきて直すのを後続車のドライバーはイラつくことなく鷹揚に見ているのが印象的でした.

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ストリートカーとトロバスの交差部の架線構造.大きな金物はストリートカーのパンタグラフ用で,金具の凹部をトロバス用の2本の架線が通過します.Virginia St. 6thにて.

なお,ダウンタウン地区ではフリーライドエリアが設定されており,エリア内では朝6時から夜7時までバス・LRTは無料で,市民サービスの一環として運行されているのもうらやましい話です.

(5)AMTRAK

1906年製の尖塔のあるSeattle King Street駅をターミナルとして,カナダ・バンクーバーまでの国際列車Amtrak Cascade号,ロサンゼルス・サンフランシスコへのCoast Starlight号 ,シカゴへのEmpire Builder号などの長距離列車が発着します.駅舎の外側は明るいレンガ色ですが,内部は薄暗く重厚な印象で,列車の発着本数が少なく人影がまばらなのと相まって,米国内の長距離旅客鉄道の斜陽さを強く感じてしまいました.

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Seattle King Street駅舎と尖塔.左奥のUFOのような建物はイチロー選手が活躍したセーフコ球場です.

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ホームに入線中のアムトラックP42-466.この機関車はCascade号の先頭を務めることが多いようです.駅・コンコースはセキュリティーが厳しく,おおっぴらに撮影できる雰囲気ではありませんでした.Seattle King Street駅.

この駅のすぐ隣には,退役したUnion Station駅舎があり,Sound Transitの事務所として使われるとともに文化財として待合室内部が公開されており,明るく美しく整備された姿が対照的でした.また,LRTのInternational District駅も隣接し,日系スーパーの宇和島屋や紀伊国屋書店などもすぐ近くにがあるので,撮影につかれたとき一息入れるのに良い場所です.

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Union Station駅舎.歴史的建造物として保存されている.トロバスの架線がチョット邪魔.

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きれいに整備されたUnion Station駅のホールで,市民の憩いの場となっています.公衆トイレもあります.

おわりに

シアトルはダウンタウン中心に運行頻度の高い鉄道施設が集中していて,さまざまな鉄道の写真をまとめて撮るのにまことに好都合で,移動も公共交通機関で十分ことたります(※ダウンタウンでは一方通行が多く,レンタカーでは慣れないとなかなか思った場所にいけないのが難点です).また,対岸の半島や近郊を結ぶ州営フェリーも良く発達しており,その巨大なアメリカサイズに驚かされます.その他,水陸両用車,近郊のボーイング社への工場ツアーなどもあり,乗り物好きな方々には楽しく過ごせる都市でしょう.なお,空港周辺などセキュリティーの高い場所で長時間撮影をしていると,警備員に不審者と間違われる場合があるので十分注意してください.

(この記事了)

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