4年ぶりに台湾での仕事が入り,南部の高雄に出かけてきました.羽田から高雄へは直行便が無いので,台北に降りて高鐵で新左營(高雄市内)に向かうという願ってもないルート.ついでに台湾一周乗りつぶしもということで,いろいろ取り交ぜての紹介です.まずは,台湾糖業博物館のナローDLから始めましょう.
台湾糖業博物館
高雄は台湾南部の港町で,MRTやLRTなど趣味人にも魅力のある都市です.土地勘を養うため,例によってMRTの乗りつぶしから始め,レッドライン(紅線)を北上しました.終点に近い橋頭糖廠站を過ぎたあたりで高架下を見ると,ナローゲージのヤードらしいものが草むらの中に見え,DLも留置されています.大きな煙突に台糖の社章が見えたので,これが噂の台湾糖業博物館かと合点し,終点の南岡山の取材もソコソコにとんぼ返りし見学してみました.
ナローゲージ車両
サトウキビを工場に搬入するため,762mmゲージの鉄道が敷設されています.
これは人車付きの編成.中を覗くと手ブレーキハンドルが上向きに突き出していました.
DLのエンジンとピンリンク連結器.スリットが水平に貫通してるので,朝顔形とはちょっと異なる機構.
さてこのDLですが,1956-57年に米国のBrookville Equipment Corporation(ペンシルバニア州,HPあり)より50両輸入したもので(No.901-950),動輪直径610mm,120馬力というスペックです.「渓州牌柴油機車」とは本来のメーカー名「Brookville」を「溪流旁的村莊(川辺村とでも?)」と中国語に当てたのと,当時の台糖本社所在地が彰化県渓州莊にあったので,「渓州牌(ブランド)」になったということです(台湾版Wikiより).
先頭の942と913.
ラストナンバーの950とちょっとかわいそうな状態のブービー949.
プレート無しDLと一両だけ離れて置かれた920.
各種の業務用車両とヤード構内のプラットホーム.奥の屋根付き車両は遊覧用?
糖業歴史館
製糖工場
車両の展示スペースから奥に進むと,製糖工場の設備がそのまま展示されており,点検用通路をたどって見学できるようになっています.製鉄所並みの強大な設備に圧倒され,製糖が設備依存産業であることがよくわかりました.
左は線路の配置図(消火設備配置図)と,工場のシンボルの煙突.MRTからでもよく目立ちます.
日曜の朝,雷雨直後に訪問したので人影がまばらでしたが,帰るころには観光バスで団体も乗り付けていました.メインの観光ルートからは外れているようで,趣味人にとってはありがたい見学先です.
2)LRTとMRT に続く