1985年(S.60)春に東海道新幹線にようやく新車が現れ,2階建て車両も!ということで一世を風靡した100系ですが,運用停止からはや7年.すっかり過去のものとなってしまいました.100系の最初のX0編成はこの年3月に落成したものの営業には投入されず,試験運転を経て8月から浜松工場で量産化改造が行われました.その昔,筆者の所属する団体でX0編成の試乗会があり,乗車のまま浜工へ入場する機会を得ました(1985.8.1).おそらくは改造のための回送,または準備入場のついでだったのでしょう.
東京駅
17番線ホームに据付けられたX0編成.標識灯の切替も未だで,赤いテールライト状態.東北新幹線の200系はまだ上野どまりで,東京駅では0系(というより単に「新幹線」と言っていた)しか見られなかったので,とがった細面が人目を惹く存在.隣のホームでは家族連れが夏休みの旅行に出かける様子.
8-9号車の2階建て連結部.手前の8号車が食堂車で,2階が食堂,1Fが厨房.男の子が珍しそうに覗き込んでます.
New Shinkansenをデザインした赤い「NS」ロゴを付けたグリーン車.連結部の屋根形状が独特.
車内のようす
東京駅を出発すると,さっそく車内の案内が始まりました.少人数のグループに分かれて,2階建て部分やグリーン車を中心に見せていただきました.
10号車116形はグリーン車.車内の座席配列(左)とフットレスト伸展の様子(右).
116の大阪寄りにはコンパートメントがあり,1人用(山側)と2人(海側)がそれぞれ2室/1室設けられていました.これは一人用個室の様子.電話のほか窓下に時計やラジオがありましたが,どういう人が使うんだろう?って思いましたね.今だったらネット接続でPCでしょうが.
コンパートメントのデッキ寄りにある車掌室の放送設備.テープの再生機器には東京から博多まで,各駅の表示灯が一列に並んでいました.
天井の低い9号車149形,2Fグリーン席の様子.外人客を想定してか,荷物置場や新聞・雑誌ラックと思しきプラ棚が設置されています.
新幹線初の2階建てということで,車内の階段が新鮮な印象でしたが,狭い!左は2階席への階段と通り抜け用の狭い廊下.右は階下席への階段.<-p>
こちらは11号車入口貫通路で,ごく普通の仕様ですね.
さて,8号車168形は食堂車です.実際には1-2回しか利用した記憶がないのですが,流れゆく景色を見ながらのレストラン気分は,駅弁とは違った趣がありました.
2Fエントランスにあった国鉄車両のエッチング装飾板.特別な空間へと誘われる雰囲気が良いですね.国鉄デザイナーの黒岩保美氏の制作とか.
2階の客席は,4人テーブルが10卓,2人テーブルが2卓設置されていました.壁のエッチング板がメタリックで目立つ分,椅子とカーペットは同系の地味目色使い.
2人テーブル部は1F廊下の吹抜となっており,一部開放的な空間を演出.
2階のパントリー部分.料理は右にある2つのエレベータで,1F厨房からリフトアップ.飲み物系は2階で準備するようで,冷蔵庫やコーヒーメーカーが見えます.
1Fの厨房.オーブンやコンロが所狭しと並んでいました.
電気コンロ周り(左)と,倉庫側から見た厨房(右).資材を送るためのコロが設置されています.<-p>
2階席から熱海を望む.
スイッチバックして浜松工場の入場線に据付けられたX0編成.運転席中央窓桟の下部がV型のX0編成の特徴がよく見えますね.
工場公開時に同一場所で出場を待つN700系.2012.7.21.
さてこの後は工場見学となりましたが,車中では以下のようなパンフレットや絵葉書をいただき,国鉄の100系にかける心意気を感じました.
100系紹介カタログの表紙(左)と,配布された絵葉書(右)<-p>
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2)浜工 に続く