1973年夏休みに伊勢神社に参拝する機会があり,往路は寝台急行「紀伊」で伊勢市へ,帰路は二見浦から参宮線・紀勢本線で亀山に向かいました.このときたまたま伊勢市駅でD51の入換作業を見たり,C57牽引の亀山行客車列車に乗車することができ,期せずしての最後のSL撮影行です(以下すべて1973.8.15撮影).

19730815pr002

長期留置された旧客の白っぽく褪せた茶色が,何ともうらぶれた雰囲気を漂わせていました.DE10牽引の824列車,伊勢市行きが二見浦駅にやってきました.

 伊勢市駅横には伊勢運転区があって,近代的な近鉄ビスタカーが往き交うすぐ横でSLが煙を吐いて活躍しており,新旧対照が際立って感じられました.

19730815pr003

D51-794[奈]がホームに着いていた列車(821レか?)から郵便荷物車を引揚げに来ました.

19730815pr004

誘導掛の合図を見ながら,ソロソロと連結.機関助士さんも前方注視!

19730815pr005

ホームから離れスイッチバックして,運転区に郵便荷物車を押し込みます.台車がTR23なので,スユニ61の100番台と思われます(おそらく天リウのスユニ61-113).郵便室のドアを開けて外を見ているのは,郵政省の乗務員さんでしょう.

19730815pr006

サイドビューから,集煙装置(後藤式)と重油タンク装備車であることがわかります.

19730815pr007

ナハフ10か11と思しきブルーの緩急車に連結して,入換完了.

19730815pr009

D51と近鉄特急の2ショットを撮りたかったのですが,タイミングが合わずようやくテンダーのみ.

 さて,伊勢市始発の826列車は13:08発→亀山15:00着でした.この日はC57-110[亀]の牽引で,運転区の奥で準備が整うと,先ほどのD51と反対のルートでホームに向かってきました.

19730815pr008

伊勢運転区の奥で準備中のC57-110.大きな給水塔が目立ちます.右側に留置されている旧客は,窓の桟やドア配置から考えて,伊勢区の救援車スエ71-31と思われます.

19730815pr011

 

826列車に据え付けられ発車待ちをするC57-110.この機関車は和歌山県橋本市の公園に保存中です.また1956(昭和31)年,六軒駅での事故で大破し,鷹取工場で修復された経歴があります.1973.8.15

 

 

 

 

 

19730815pr012

多気駅で駅長さんがキャリアを受け取ったところ(シャッターを切るのが一瞬遅く,キャリアは後ろに隠れて見えません).停車のはずだったので,通過列車のようにすれ違いざまに受けとる必要は無いと思うのですが?ベンチやくず入れの色と形が懐かしい.

19730815pr014

松坂駅停車中に撮らせてもらった機関士席.ブレーキ弁,逆転機ハンドルが光ってました.

鉄道設備過去帳(4):テルファー(telpher)

 テルハとも言われますが,荷物用の簡易エレベータ/クレーンです.跨線橋のような構造物に台車を走行させ,台車のホイストにより荷物台車ごと吊り上げて荷役する設備です.松坂駅で停車中にたまたま台車の吊り上げが行われていたので,車窓から撮ったものです.

19730815pr013

3輪台車を荷崩れ防止ネット兼吊りワイヤーで昇降する簡易な仕組みです.端面の荷物落下への保護が無く,現在の安全基準ではまず通らないシロモノ.このころ上野駅の台車は鉄製,ゴム付き車輪だったので,鉄輪,木造台車というのは当時でもかなりの年季もの.後ろに郵袋を積んだ台車が見えます.松坂駅にて.

都合9回のSL撮影行は今回で終了です.長々とご覧頂き,有難うございました.

(このシリーズ完)