三重県の四日市と桑名周辺には現役のナローゲージが集中しており,近鉄内部(うつべ)・八王子線,三岐鉄道北勢線が活躍しています.しかし前者は今年8月にバス転換の方針が出され,後者も2003年に三岐鉄道が10年の時限で近鉄から継承したものの,年限が迫ってきました.その昔,関東地区で大規模な762mmといえば西武山口線「おとぎ列車」でしたが,子供のころユネスコ村への遠足でバス車中からチラリと見た程度で,レオライナーに転換されてしまいました.そこで現役ナローを観察する最後の機会かもしれないと思い,出張帰りに寄り道してみました(2012.11.10).
四日市駅は高架下で薄暗く写真が撮りにくいので,内部線と八王子線の分岐駅である日永(ひなが)駅に行ってみました.たまたま土曜の下校時間だったのでしょうが,初めて乗ったナローは中高生でごった返しており,廃止されてバスで対応できるのかチョット疑問でした.
内部駅の車庫も訪問したかったのですが,例によって時間切れとなり,次の訪問地である桑名駅に向かいました.
三岐鉄道北勢線・西桑名駅はJR桑名駅の少し南西にありますが,わざわざ駅名に「西」をつけて区別しています.ホームが1本のみの行き止まり式です.
西桑名駅を出て線路沿いに少し南に歩くと,西桑名第2号踏切があります.これは北勢線,JR関西本線,近鉄名古屋線を渡る踏切で,762mm,1067mm,1435mmと3種類のレール幅を同時に体験できる貴重なスポットです.
3種類のゲージを一気に横断.西桑名2号踏切(32秒).
西桑名2号踏切を通過する北勢線430列車(46秒).
駆け足でしたが,ナローゲージ鉄道の生きている姿,生活に密着している姿に出会うことが出来たのは,またとない良い機会でした.ナローの車両は少量多品種なだけにメーカーの対応が難しく,更新費用が高額となることも存続が危ぶまれる理由の一つになっているとのこと.どちらの鉄道も都市部に残った現役ナローということで,ファン的には何とか今後の存続に期待したいところですが,財政的には厳しそうです.
おまけ
帰路の桑名→名古屋は,JR東海のキハ75快速「みえ」に乗車してみました.特急料金を取られる近鉄より安く,時間も+10分程度なので大して気になりません.首都圏では珍しくなった気動車の運転の様子を立ちっぱなしで観察する良いチャンスでした.なによりも驚いたのは加速が速い,エンジンブレーキが良く効くということで,新系列気動車の性能の高さに関心しきりでした.
(おわり)