かつて急行「ニセコ」で通過した山線・函館本線も,いまや区間運転の普通列車のみとなってしまいました.今回は帰路の列車都合もあり,レンタカーでR5からアクセスの良い駅について,現状の拾い食いルポです.

余市駅

 NHK朝ドラのマッサンの舞台で有名になりましたね.ニッカウヰスキーの隣に道の駅があり「朝市」や「余市宇宙記念館」が併設されており,人々でにぎわっていました.「朝市」はともかくなぜ余市で「宇宙」?と疑問したが,日本初の宇宙飛行士・毛利さんの出身地ということで縁有りです.

y1-01

余市駅の正面の様子.’96年に物産センター「エルプラザ」との一体駅舎完成で,モダンな感じです.

地震で運休中の駅構内の様子と,駅外にある記念撮影用のウイスキー樽.

y1-04 y1-05

y1-02

余市駅からニッカウヰスキー醸造所を望む.駅前からいきなり石造りの英国城門風の建物が見えて,オオっ!という感じでした.

銀山駅

 駅名が鉱山でもあったのかと想像させますが,まったく地下資源とは無関係.おそらく1905(M.38)年の開駅当時に命名権者が訪問し,周辺が一面銀世界の山々だったので「銀山」にしたのだろうと想像します.R5からも集落からも外れた山沿いの駅で,カーナビがあってもアプローチがどこかと迷いました.

gzn-01

メインストリートから細い道を上り詰めてようやく到達した銀山駅.集落のはずれなので,秘境駅の雰囲気です.信号系の職員の方々が,発電機を積んだ車で震災からの施設復帰メンテをされていました.ご苦労様です.

gzn-04

コンクリ板とアスファルトの近代的なホームが,ちょっと違和感.

倶知安方面のS字カーブと真直ぐな対向ホーム.C62ニセコが走っていたときに写真を撮りたかったですね.

gzn-03 gzn-02

小沢駅

 待避線のある立派な駅で,近くにR5の陸橋がオーバークロスすることからも筑波鉄道の常陸北条を思い起こさせます.「男はつらいよ 第5作 望郷編」でD51-27の機関助士(松山省二)に寅さんがタクシーで追いついた駅,ということで筆者には記憶に残ってる駅です.

ksw-01

小沢駅の駅本屋.建物全体は平凡な印象ですが,ドームのような丸いファサードが特徴的でした.

ksw-02

1985年7月まで運行されていた岩内(いわない)線のホーム後を示す木柱が,跨線橋の下に建植されていました.日本海側まで15km足らずの路線でしたが,ニシンや銅山/炭鉱でかつてはにぎわっていたという由.

跨線橋の様子と駅名板.外部の古レール/羽目板構造が古い割に,内側はリフォームが行き届いていました.

ksw-03 ksw-05

ksw-04

寅さんの映画では,左側待避線のホーム外れに上りのD51-27貨物列車がいましたね.

ksw-06

R5の跨線橋から見た小沢駅全景.線路の曲がり具合がレイアウトにしたくなる趣です.

倶知安駅

 さすがに沿線の大駅で,駅周辺を含めてそれなりの街並みがありました.胆振線の2つ目トラ塗装9600が活躍していた時代にぜひ訪問してみたかったですが,北海道まで一人で出かけるには,ほんの数年筆者の年齢不足でした.

kcn-01

豪雪対策か,意外と芸のない感じの駅ビル風,倶知安駅.

kcn-05

地震による運休看板が掲出されており,ここでもホームは閉鎖中.長円形の改札ラッチがなんとも懐かしい形状.

kcn-03

駅横のから構内を望む.ホームに車がいる様子は,台鉄のよう.

kcn-02

駅隣の生協・コープさっぽろの屋上駐車場から構内を望む.キハ150+キハ40がいました.

kcn-04

旧倶知安機関区のターンテーブルの向こうにはニセコが見えてました.9600が活躍していたのは,このあたりだったんでしょうか.

ニセコ駅

 スキー目当ての外国人(豪州)が多い駅として知られるようになりましたが,訪問時はオフシーズンのためか落ち着いた雰囲気でした.

nsc-01

山小屋風の駅舎とニセコのショット.駅舎内部にもかなりのこだわりが見られました.

nsc-02

駅内部もタイル張りで,格子引戸できれいに整備されています.外国人観光客対策でしょうかねぇ.

nsc-03

とはいえ,ホームの跨線橋は昔ながらの古レール製で,奥に見える黄色いニセコ大橋('94年製,ニールセン橋)と対照的でした.

nsc-04R

例によってロールマークを探すと,ありました.日鉄,75ポンド(37kg/m),A(普通断面)で,1926(S.2)年製が見えます.意外と新しい.

yts-01

ニセコは顔を出していましたが,この日の羊蹄山は若干ご機嫌ナナメで,山頂が傘雲に覆われていました.

昆布駅

 山の中なのになぜ「昆布」?という感じ・漢字ですが,「アイヌ語源」/「津波で昆布打ち上げ説」など色々あるようです.北海道の地名は奥深いですね.

knv-01

道路からすぐの昆布駅舎,というよりこれはもう待合所.駅反対側はスーパー銭湯風の温泉「幽泉閣」があります.

一線棒構造の昆布駅ホーム.長万部方(左)と倶知安方(右).

knv-03 knv-02

蘭越駅

この日は神社のお祭りが執り行われており,駅へのアクセス道路が閉鎖されていたため,若干の回り道をして駅前に到着しました.

rks-01

四角い今風の駅舎で,白黒でコントラストを強調した意匠です.駅名も銀文字!

構内は対向式ホームになってますが,待避線もあったようで,撤去跡が目立ちました.倶知安方には保線車両用と思しきシャッター付の庫がありました.

rks-02 rks-03

目名駅

 北海道の農場地帯のド真中!という感じの駅で,平地にポツンした佇まいが筆者は好きですねぇ.

mna-01

急勾配の屋根が目立つ駅舎.すぐ横には郵便局があります.

青空が目立った目名駅ホーム.倶知安方(左)と長万部方(右).広々して実にすがすがしい!

mna-02 mna-03

mna-04

バックは幌別岳で,山の向こうは寿都町.

熱郛駅

 R5側道にはなんの案内標識もなく,行き過ぎてしまいました.カーナビがなかったら見逃すところです.それにしても「郛(ぷ;城の外囲い)」という漢字は,現在ではこの駅のためにあるようなものでしょうか.ふつうは読めませんよね.

nep-01

三角の車寄せ屋根が目立つ熱郛駅.地域の方々の集会所になってるようです.

400m近い行き違い線を有する熱郛駅構内.今時珍しいホーム切欠踏切が残っており,利用人数の少なさを物語っています.夏草にまぎれた駅銘板がチョイ物悲しい.

nep-02 nep-03

nep-04

熱郛駅者前にあるトタン葺きの倉庫.錆が経年を感じさせますが,昔の貨物駅の名残でしょうか.

5)山線再訪-2 に続く