京葉臨海鉄道は2年前に設立50周年記念の一般公開を行いましたが,普段は構内を見学出来る機会はありません.今回,所属する学会で同社千葉貨物駅の見学会があり,貴重な機会ということで参加してきました.以下,見学記です.

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内房線・浜野駅から海側に歩くこと20分.ようやくたどり着いた千葉貨物駅のゲートです.コンテナの山やタキがたむろする雰囲気は,いかにも貨物駅.

京葉臨海鉄道について

 本社社屋に集合後,同社鉄道本部長さんと前社長さんより会社概要のお話を頂きました.同社は京葉工業地帯の貨物輸送を目的として設立され,おおよそ内房線の蘇我・長浦駅間の海側を走っていおり,会社概要は以下の通りです.【同社HPはこちら】

設立年ほか 昭和37(1962)年,2012年に設立50年記念公開を行う
設立者・資本金 国鉄(現JR貨物),千葉県,沿線企業・19.5億円
駅数・営業キロ・社員数 9駅・22.8km・185名
取扱貨物内訳 石油類:80%,コンテナ類:20%
主要荷主・行先等 コスモ石油,極東石油,富士石油;タキ(揮発油)
 →南松本,倉賀野,八王子,郡山貨物,宇都宮貨物
住友化学;コンテナ(袋詰ポリエチレンペレット,化成品)
 →全国各地

一時鉄道輸送を止めていた富士石油が鉄道輸送を復活させましたが,これは3.11震災後に輸送ルートの見直し・複数化という会社の方針と,何よりも富士石油輸送部門の方々が専用線を丁寧にメンテされていたのですぐ復活できた,という裏話を伺うことができました.この後,ヘルメットと安全帯を着用し,機関区見学に向かいました.

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3階建ての質素な本社社屋.

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社屋横にある千葉貨物駅の記念碑です.

機関区

機関車は現在7両体制で,KD60型4台,KD55型3台がおり,このうち5台が常時稼動,残り2台は検修,予備用です.蘇我駅でのJR貨物入換の業務委託も受けているため,1300t貨物が牽引可能な仕様ということでした.全検は大宮車両所へ委託していますが,その他の整備は自社で行っています.

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2線の検修庫で,奥行きは機関車2両分程度.京葉臨海鉄道には機関区は一つしか無いため,「機関区」が正式名称ということです.

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庫内では,手前でKD55-103(もとDD13-346)が,奥でKD60-2が修理中でした.

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KD55-103は過給機(ターボチャージャー)に不具合を起こしたとのことで,部品を取り外し点検中でした.巻貝のようなタービンハウジングが床に寝かされています.タービンホイールもさすがに大きく,自動車用の数倍の直径がありました.

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機関車から取り外され修理中のDMF31SZ.オリジナルの予燃焼室式を直噴式に改造し,さらにターボチャジャー(記号S)とインタークーラー(同Z)を付加したものです.コモンレールではないものの,エンジンの改良技術のほとんどが使われていました.出力はオリジナルに比べ1割アップの550PSです.

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奥のKD60-2もエンジンのメンテ中.手前の作業台上に新品のピストンが並べられています.こちらのエンジンは560PSですが,ピストン径はKD55と同じ180mmくらいかな?

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取り外されたシリンダヘッド.合せ面にごみやキズがつかないよう,ビニールシートで包んでいます.左のシリンダヘッドには計4個の吸気・排気弁が見えます.左下は使用後のピストンで,新品に比べかなり黒ずんでいるのが分かります.

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機関区横のピット奥には車籍の無いワムハチがおり,移動倉庫のように構内で使用しているとのことでした.後方にはダルマのワムハチ倉庫も見えます.

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見学している横をKD55-201(1995年製,600PSx2)が蘇我に向かって出かけていきました.京葉臨海のDLには,キャブ海側屋根の両方向に監視カメラが付いていますが,無線操縦用でしょう.

DD13は昔はどこの貨物駅にも当たり前のようにいましたが,今や絶滅.ここでは未だにセンターキャブのDLが現役で活躍している様子を見ることが出来て,とても懐かしい気がしました.

2)貨車区 に続く