子供の頃,鉄道雑誌に出ていた阿里山森林鉄道の記事を見て,シェイという特殊なSLの存在を知り,いつか現物を見たいと思っていました.乗用模型では神奈川・松田のポッポ鉄道でお目にかかっていますが,今回は本物を見るまたとない機会で,ぜひ嘉義を訪問することにしました.早速時刻表を調べてみたものの,平日は途中の奮起湖までの一往復のみ,しかも目下災害復旧中です(7月から全通.残念!).帰りの列車は2時間待ちで,バスで戻ろうにも停留所までは炎天下数キロの山道です.追い打ちをかけるように,訪問前日までの大雨で,TVでは阿里山周辺の崖崩れを報道しており,台鉄の予約サイトも不調!ということで,やむなく今回は嘉義駅と嘉義車庫園区を訪問することにしました

嘉義駅

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嘉義駅前広場.高雄もそうでしたが,大駅の地下化や高架化の工事が行われており,嘉義は高架化工事の最中です.

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広いコンコースと自動改札の入口です.もう少し広くて暗いと,昔の横浜駅東口のホールようですがね.

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ホームから見た出口の様子です.古レールの鉄骨とトラス構造の一般的な屋根構造.

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鉄骨を受ける金具ですが,猫足風意匠の鋳物で,なかなか凝った作りでした.古レールの構造物でも,昔の設計者は細かいところにも気を配ってたんですね.

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例によって,柱の古レールのロールマークを探してみました.ペイントの厚化粧を画像処理してみると「U.S.A. CARNEGIE 1915(大正4年)」が現れ,米国カーネギー社製であることがわかりました.※写真では柱を横にしてあります.

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普悠瑪111,潮州行が到着したところ.お客さんは暑熱の中,日陰のホームで待ちわびた様子でした.

 さて,森林鉄道のホームは上記写真の奥の方にあります.ホームを歩いていくと,駅事務室や洗面所,鉄道警察などがあり,その先に森林鉄道のホームがありました.

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植え込みや鉄警隊詰所が続くホームを歩いていきます.鉄警隊詰所の前には所長の婦々(?)が,椅子に腰かけて涼んでいました.

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行きついたところが森林鉄道のホーム.機回線がある棒線構造で,門裏を右手に回り込んだところが出改札.

762mmナローの線路と,第3種車止.コンクリート製の給水塔は,嘉義站のロゴ付きでした.

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PC枕木とパンドロール型締結装置.ナローゲージ版は初めて見ました.

森林鉄道ホームの先端(左)と,本屋側を振り返ったところそれぞれの電車は,EMU500の(先頭567)と,最新の交流電車EMU800(先頭848).

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嘉義車庫園区

嘉義車庫園区は,森林鉄道の北門駅にある機関区一帯を,鉄道公園に整備したものです.駅から1.5km程なので十分歩ける距離ですが,炎天がこたえます.

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嘉義駅から嘉義車庫園区までのルート.北興陸橋の下を潜って先を曲がると,線路沿いの道路に出ることができます.※google mapに加筆.

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江ノ電沿線のような雰囲気ですかねぇ.道路が狭いわりに,車・バイクの往来がかなりあるので,要注意!

平日一往復だけではとってももったいない,遮断機付の立派な踏切.遮断機は2015年の日本信号製で,銘板も日本語のまま.

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線路が閉鎖されている踏切から先は側道が無いので,左手に向かいます.消防署や裁判所の前を通って,公園に至ります.

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ようやくたどり着いた「阿里山森林鐡路車庫園區」の玄関です.

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入ってすぐに「修理工廠」があります.手前の線路は本線.

 公園は200x100m程度のエリアが自由に散策できるようになっており,保存車両や現役車両が留置されていました.

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先ずは目的のシェイにご対面ということで,13号(1910年,米LIMA社製).762mmとはいえ意外と大きかったので,ちょっと驚き.

シリンダー部分とキャブ内部の様子です.

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台車の様子.当然ながらベベルギア側に軸ばねは無く,反対側にかろうじて小さなコイルスプリングがあるのみで,振動が酷そう.乗り心地はどんなもんだったんでしょうか.

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13号のお隣は,コッペルのDL-37(1972年製).まだ十分走れそうに見えます.

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3シリンダNo.25のサイドビュー.オイル焚きの動態保存機ということで,よく手入れされていました.

No.25の前後からのショット.

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車庫の前では,職員さんたちが機関車の整備中でした.

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ターンテーブルもありました.1978年設置で89年使用中止とあり,新しいのに水が溜まり,何とももったいない状態.

ターンテーブル周りに留置されている現役客車.その横にはDL牽引の保存展示もあり.

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日車製の「中興号」で,阿里山というとこの車両が思い浮かびます.一時復活したとのことでしたが,訪問時はパテ作業中で塗装の下準備が行われていました.再稼働が楽しみですね.

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DL-11号.現役のようでした.

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23号機(1914年,米国LIMA社製)とボギー客車の展示.13号機はダイヤ型煙突でしたが,こちらは極太の煙突が目立ちます.

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ボギー車の車内の様子.細長いスペースにロングシートが伸びていました.長時間の乗車はチョットこたえそう.

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C型ロッド機DL-2.反対側のキャブ下に解説版があり,1953年三菱三原製,250HP,25tと記されていました.大袈裟なカウンターウェイトとジャックロッドが特徴的.筑波鉄道DC20と同世代?

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輪軸を利用したベンチです.台湾の鉄道公園は,アートにも造詣が深いかな.

 展示車両も線路が繋がっている部分に留置されているものが多く,現役か展示車は説明板の有無で区別しないと分からないような,混然とした公園でした.動いている様子もぜひ見たかったですが,本物のシェイに会えたことで良しとしますか.
7)集集線訪問 につづく