13年ぶりに沖縄を訪問する機会があり,念願の沖縄都市モノレール(ゆいレール)に乗ることが出来ました(2012年10月30日).前回訪問時は試運転すら始まっておらず残念でしたが,コンクリート軌道を滑らかに走るモノレールが那覇の街並みに溶け込んでいる姿に感心しました.
軌道構造は多摩モノレールと同様の床がフラットな日本跨座式で,全線軌道法による免許なので道路上にレールがあります.車両は2両編成の1000系13編成で,日立/川重製のアルミ車体,100kW×6台のかご型誘導モータをIGBTによるVVVFで制御しています(空港寄りのボギー台車のみM無し).変わっているのは運転席が右側にあることで,2/3の駅ホームが島式であるためと思われます.
駅間で流される車内放送は沖縄わらべ歌を基にした「ゆいレールサウンド」,駅には「各駅アート」と称して駅ごとに異なる染織,アートガラス,シーサーが置かれており,耳と目を楽しませてくれました.出改札は磁気カードのみで,交通系ICカードには未対応です.
ゆいレールで感心したのは,空港近くの車両基地内に「ゆいレール展示館」と称する常設展示館を無料開放しているところです.1Fがモノレール関連,2Fは戦前に存在した沖縄の県営/軽便鉄道,および元東京高裁長官でエッセイストの「ゆたかはじめ」氏が寄贈した鉄道関連物品の展示スペースになっています.
さて,ゆいレール展示館2階にも紹介されていますが,沖縄には戦前に県営鉄道(軽便;ケービン)や馬車鉄道がありましたが,戦争で全て破壊されてしまいました.また占領後のアメリカの道路優先の政策のため,ゆいレールが出来るまで沖縄に鉄道が存在しない状態が続きました.このため鉄道遺構もきわめて少ないのですが,今回は壺川公園の軽便線跡地と大東製糖の保存ロコを訪問しました.
ゆいレールは会社の方々の並々ならぬ思い入れで運営されており,地域にすっかり溶け込んだ交通手段になっているように見えました.特に上空から県庁付近のR58の渋滞状況を見ていると,今後北方への延伸もぜひ実現する必要があるように感じられます.
(おわり)