保土ヶ谷に撮影に出かけるときは,自転車で京急・井土ヶ谷駅の前を通り,永田の切り通しのup/downを越えていくのが常でした.この写真はいつもと異なる近道で保土ヶ谷に向かったときのもので,撮影場所は井土ヶ谷-南太田間,大原トンネルへ向かう路地上のガード付近です.大原トンネルとは,横浜市が水道/人道併用トンネルとして関東大震災後の1927(昭和2)年に完工させたもので,現在は市認定の歴史的建造物,土木学会選定の土木遺産となっており,綺麗に整備されています.しかし当時は昼でも薄暗くて人通りが少なく,254mの細長いトンネルは不気味で,今で言う心霊スポット(オカルト)的な場所として中学生の噂の的でした.おそらく自分も半分怖いもの見たさで,このルートを通ってみたのでしょう.さて現在この場所にはマンションが建っていますが,当時はコンクリートを吹き付けた長い切り通しで,電車を俯瞰して撮るのにちょうどよい場所でした.初夏で冷房車の無い時代,所々窓を開けて風を入れるのが当たり前でしたね.[撮影日:1973(昭和48)年7月13日]
京急は生活密着で身近すぎるのと,東海道線の車両に比べて色の変化が乏しいので,ついつい撮影をおろそかにしてしまいました.上大岡が地平駅だったころ,集中クーラーの1000系4連新車(1300番台)が発車するのをよく見かけ,綺麗な編成だと感心していましたが,写真記録はゼロ.いつか模型で再現したいものです.
(本稿おわり)