柘植駅では加太越えの後補機の解結作業が行われ,峠で奮闘中のSLとは趣の異なる静かな姿を撮影することができました.広い駅構内には客車やDCが留置されており,国鉄の典型的なローカル分岐駅の雰囲気がありました.

峠を下ってきた1293レ,D51-885[奈]が柘植駅構内で停車したところです.後藤式集煙装置,重油タンク付き.前照灯はこの地区では珍しくLP403とLP405のダブル装備.前任の一戸機関区時代の名残でしょうか.なぜか先台車担ばね点検戸が開け放たれていました.この機は現在埼玉・熊谷で保存中.1972.8.2
機関士さんも峠越えの緊張から解き放たれ,ヤレヤレといった表情です.この機のキャブ周りには製造銘板が見当たりません.1972.8.2
D51-940の煙室,クロスヘッド周り.特徴ある形の鷹取工場のボイラー銘板が見えます.のちにデフに「カモメ」マークが取り付けられたようですが,このころは無装飾.1972.8.19
奈良機関区には赤ナンバーが多かったのと,デフレクターに装飾を施された機関車がいました.前出906号機の「ピース」のほか,C62-2のような「ツバメ」や,いかにも奈良らしく「鹿」などがありました.

1293レの後補機D51-944[奈]がはずされ,入換担当の職員さんとホームで一息入れているところです.この機も先台車点検戸が開いています.木製ベンチ,洗面台,電照式乗換え案内板,縦書き時刻表など,懐かしい駅設備が見えます.1972.8.2
(この回終わり)
SL撮影行 (5)草津線・信楽線 に続く