(2)路面電車(Street Car)
シアトルの路面電車は1884年の馬車鉄道開業に始まり,近郊都市まで含めて路線が発達していましたが,第2次世界大戦後のモータリゼーションにより線路が取り払われてしまいました.しかし市内の渋滞が激しくなるにつれてエコブームの機運も高まり,2007年12月12日にダウンタウン中心部のWestlake Hub駅と北部の海沿いのFairview & Campus Drive駅間1.3マイル(2km)が開業しました.複線で全部で11の駅があり,途中別々の道路を走る単線区間があります.実際は2駅間の往復ですが全線がループという考え方で運行されているので,終点から折返線に向かう際に乗車していても問題なく,乗務員が車内を歩いて運転台を移動するのを見ていてOKです.
切符は停留所の販売機で購入しますが,刻印時刻から1時間$2.50というシステムで,この間は乗り降り自由となっています.この販売機は武骨な外観で屋根がないため,まともに動作するか心配でしたが,ちゃんとクレジットカードが使えたのはさすがアメリカでした.
車両は1990年創立のチェコ・イネコン(INEKON)社製のTorio-12型を使用しており,今風の低床3連節車体の路面電車です.同社HP(イネコン社HP)から主要スペックを拾うと,全長20.13m,幅2.46m,空車質量26t,最高時速70km/h,電動機90kW×4等々となっています.車両の色はさまざまで,赤,緑,青,紫等が確認できました.最新の車両だけに乗り心地が抜群だったのと,お年寄りに席を譲る人々の振る舞いが実に自然で感心しました.現在の路線は市中心部より北側のみですが,路線拡張が計画されており,このうち南部のFirst Hill路線が2013年に開業予定となっています.