今月オープンしたばかりの原鉄道模型博物館が入居している横浜三井ビルと隣の日産自動車本社ビル一帯は,昭和40年代は横浜機関区と高島駅の広がる貨物ヤードでした.横浜駅東口行きバスに乗ると,到着間際に右手に横浜機関区の扇形機関庫が見え,一度中を見てみたいと思っていました.当時中学生だった自分が,ダメモトと意を決して機関区宛に見学申し込みのハガキを出すと,助役さんから「気を付けて見学してください」と望外のお返事をいただき,喜び勇んで友達と連れ立って見学させていただきました.これはその時の写真です(訪問日1972年3月5日).
当時,高島駅の貨物取扱量自体が減っていたこともあり,機関区は活気があるとは言い難い雰囲気でした.それでも構内に入換用のDD13,EF12,EF15等が留置されており,入換機の据え付けや出区作業が行われていました.面白かったのはSL用投炭訓練設備がまだ残っていたことで,これで機関助手さんが訓練したんだなと興味深く見学しました.

EF15 162の出区作業.滞泊時間が長いと元空気溜めのエアが抜けているので,機関助士さんが長い竿のようなディスコン棒(Disconnecting Pole)で,パンタグラフを架線に接触させているところ.コンプレッサーが始動してパン揚げ用シリンダにエアが溜まるまで,重いのをひたすら我慢.このディスコン棒は近くの電柱に立てかけてありましたが,車体下縁部に沿って抱かせる場合もあったようです.1972.3.5
さてこの転車台,平成3年4月に本牧市民公園に移設され,D51 516や造船所の設備と共に展示されています.初めて見たとき「あのターンテーブルがなぜここに?」と嬉しい驚きでした.文化財として移転・保存を決めた横浜市の英断に頭が下がります.

本牧市民公園に移設・保存された転車台.デッキ風に板材で覆われているものの,集電用トラス構造も健在.現在はトラ塗りの柵で囲まれ,転車台上には立入れないようです.手前側にD51があります.2005.8.13

操作小屋の上部についている銘板です.福島市三河北町㈱福島製作所,二輪式轉車台電動牽引機,形式:F4型重量式(?),製造年月:30.12,製造番号:275,登録番号,389574と読めるので,昭和30年モノでしょう.福島製作所は揚錨機などの船舶機器メーカーとして,現在も盛業中です.2005.8.13

ピットから駆動部を見たところ.33年前に撮ったのとほぼ同じアングル(3枚目)を,別の場所で再び撮ることができたという大変ラッキーな縁.駆動用の大歯車と片フランジ車輪で,ケーブルカーのように両フランジになっているのが面白い.重量式との記載なので,桁+機関車重量を駆動輪で一部負担し,円形レールへの粘着力を得る構造と思われます.2005.8.13
今日の鉄道では不要設備と思われた転車台ですが,鉄道博物館の東急車両製やSL運転用に各地で新設・整備されるなど,今後も活躍の余地があるようで嬉しい限りです.
2024年7月4日 at 22:54
失われた時を求め 探してきました
もう今は変わってしまった 前の姿をみることができました
在りし日の姿をアップしててくださり
ありがとうございます
2024年7月6日 at 13:22
高島町-桜木町周辺はすっかり様変わりしてしまいましたね.みなとみらい地区は道路が広いので,LRTでも出来ないかと期待しているところです.
2024年9月19日 at 07:20
毎日の゙散歩コ―スで、本牧市民公園のD51や転車台を眺めています。高島機関区は昔のSL時代の思い出です。今、この転車台を80/1スケールで作製中です。7割程の進捗です。この記事は、大変参考になりました。有難う御座いました。
2024年9月20日 at 17:52
ターンテーブルの模型製作は楽しそうですね.完成したらお写真投稿お願いします.
2024年12月31日 at 20:42
その後,堀江様より転車台製作の写真を頂きました.この記事を一部参考に製作さたとのことでお役に立てて何よりです.HOスケールで展示台枠やスイッチ電装品関連など丁寧に作り込まれており,博物館での展示物のようです.ご投稿有難うございました.※その後,本牧市民公園のレストハウスに展示予定との連絡を頂きました.
