日付印字機は,昭和40年代中頃まで菅沼タイプライター㈱が菅沼式ダッチングマシンと称される製品を供給した後,天虎工業㈱の製品にとって代わられたことが分かっています(Dr.TTさんのHP).両者は印字機構がきわめてよく似ているため,何らかの関連があるのではないかと思っていました.このほど菅沼式と天虎式をつなぐmissing-linkと考えられる製品を入手できました.以下はその写真です.

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この個体は信州方面で活躍したようです.永年の汚れを落として,すっきりした状態です.

形状や塗装は末期の菅沼式にそっくりですが,天虎工業のブランドロゴが両面にあります(裏面はシール).下部前蓋には,製43型A,No.81219と刻印されており,昭和43年製で菅沼式の続番のように考えられます.菅沼式は昭和45年ごろまで供給されたとのことなので,これよりちょっと前から両社のOEM関係があったのかもしれません.

面白いのは内部機構で,乗車券押さえメカニズムが菅沼式本来の揺動型から天虎式のローラー型に代わっており,まさに両社製品をつなぐmissnig-link,あるいは合作ともいえる製品です.

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インクで固着した活字や,埃だらけの内部も分解清掃しました.活字は菅沼式と同一書体で金属製,「ヨ」活字も健在です.

これより,昭和40年代初頭から両社が技術協力・生産委託の関係にあったことが示唆され,やがて天虎工業が唯一の日付印字機メーカーになっていった経緯が推察されます.