切符の準備

 以前からやってみたいと思っていた台湾一周乗りつぶしですが,1日で回ろうとすると,優等列車や高鐵を乗り継ぐ必要があります.料金のことも考えて,今回は高鐵・台鉄特急5日間ジョイントパス(NT$3600)をネット予約しました.これは台鉄5日間乗り放題(開始日指定),高鐵2日間乗り放題(5日内の2日指定),太魯閣や普悠瑪もOKという優れモノです.ただし列車予約は窓口で一々記帳してもらわねばならず,折角のネット予約が使えないのがちょっと不便です.

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パスの表紙と券面のシール.今回は南港駅の高鐵窓口で引換え,この時に日付を指定して貼り付けもらいました.

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パスへの予約記帳の様子.窓口により,一瞬でサットやってくれるところもあれば,不慣れで本部に電話をかけまくり25分待たされたところも.改札でもパスポート提示を厳密に求められたり,表紙を見せるだけでフリーパスなどアバウトなところもありました.なお,台鉄/高鐵の列車所属により,それぞれの窓口で予約します.

さて,当初計画は
 1)新左營8:25=> (自強303) =>知本10:33
 2)知本10:55=>(太魯閣417)=>台北14:50
 3)台北15:31=>(高鐵141)=>新左營:17:05
だったのですが,新幹線の無い東部線はいつも混雑しており,2)については3日前でも花蓮までしか予約できませんでした.
乗継も満席続きで,窓口で探してもらった結果,2時間ほど後の列車でようやく予約が取れて,
 3)花蓮14:50=>(自強177)=>台北17:42
 4)台北=>高鐵自由席=>新左營:夜着
に落ち着きました.ここでのやり取り,英/中/日mixで冷や汗ものでしたが,たいへん面白かったです.新左營站の台鉄窓口のお姉さんには,大変お世話をかけました(多謝).

新左營から

 少し早めに駅に行き,構内を観察しました.高鐵,台鉄,MRTの3路線交わる交通の要衝で,駅自身も新しく日系デパートもあり,高雄の活気を感じさせる駅です.

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高鐵線路に沿ってそびえる「新光三越」.地下道で駅直結になっており,デパ地下が日本同様充実しており,フードコートも大きいので便利です.

構内は列車が頻繁に発着し,機関車の機回しなども行われていました.自強122基隆行と,機回中のE215.

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 最初に乗車した自強303は9連(3連x3)のDC列車で,かつての国鉄特急DCを思わせる長さでした.

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いかにも日本製といった顔立ちの東急製DR2800('82-84年).3両編成で両端が運転室付き.中間車のエンジンは冷房用.

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こちらは同列車の後方.ジャンパ栓は両渡りでケーブルも装備.

中間車の連結部.プラグドアとテールランプが目立ちました.先頭車同士の連結面.台鉄のDCは半室運転台なので,反対側はABという特番の座席になっています(右写真で乗客の見えるところ).先頭車でここが空いていれば,趣味人には嬉しい前面展望席となります.

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デッキとの仕切扉.「TOKYU」の銘板のほかに,改造担当の「隆成發車輛廠」の楕円銘板が目立ちます.車号板の左には,投書用紙の状差しがあって,ネット時代でも書面を尊重する台鉄に感心!.

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検札中の台鉄女性車掌さん.排気管部分の丸い仕切り意匠は,特急型でも同じ.座席カバーのクマは,台湾ツキノワグマのオーション君.

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オーション君はくまモンに似ていますが,れっきとした台鉄キャラクター.くまモンと一緒に写真に写っているお友達ページもありますね.台鉄HPより.

 さて,列車はヤシやバナナの畑.あまたの養殖池の間を快調に進みます.浜松の養殖池のような水車が回っているので,ウナギでも養殖しているのかと思いましたが,台湾南部では多種の魚が養殖されているということでした.枋寮を過ぎ,綺麗な海が見える地域に入ると,紀勢線を走っているような錯覚に陥ります.枋山からは海と直角方向に進み,勾配+トンネルで山岳部を抜けて東側に至ります.こののち太魯閣の始発駅である知本に着きました.

知本駅

 太魯閣の発着線がある駅で,ホームが真直ぐなところを除けば紀伊勝浦,または新宮のようなイメージですかねえ.

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知本駅で交換する自強373(左)と303(右).

車掌さんは,最後のユニットの中間車からドア扱い.DR2800は天井クーラーのほかに床置きクーラーもあるので,トイレ向側には大型のガラリが設けられています.

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台東にむけて出発する自強303です.右側には乗車予定の太魯閣が止まっています.

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大型の乗車位置目標の設置されたホームを彰化へと向かう,自強372.こちらは日立製DR2900('86年)で,東急製に比べて,車体の裾絞りが無く,床置クーラーの代わりに天井分散型3個になっているところが相違点.よって定員も多い.

 さて,太魯閣の発車まで時間が有ったのでホームを観察していると,中央部でなにやら人だかりが.よく見ると,お年寄りや荷物を持っている人のために,簡易エレベータがあり,細い踏切が駅本屋へと続いているのでした.きめの細かいサービスと,エレベータよりも経済的な工夫に関心!

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地下通路があるのに線路を渡っている人がおり,なにやら順番待ちの様子も見えました.

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駅員さんの操作でホーム切欠部が沈んで,踏切の高さまで下ろしてくれます.

反対側から見た簡易エレベータ(左).パンタグラフ機構をモーターで駆動する方式.右は本来の立派な地下道.

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開放的な知本駅の駅本屋です.

5)台湾一周:後編 につづく